産業廃棄物収集運搬業の許可 その4

今回は、産業廃棄物収集運搬業許可の申請について、ご説明いたします。

産業廃棄物収集運搬業許可の申請では、申請までのスケジューリングが大切になります。

まずは、どの役員も講習会を受講して試験に合格していない場合、役員の一人で構わないので、講習会の予約を入れることです。毎月行われているものではありませんので、できる限り早い時期での予約を入れることが肝要です。

次に各都道府県の役所にアポイントメントを取る必要があります。産業廃棄物収集運搬業許可の場合、複数の都道府県に申請するケースが想定されますので、申請する全ての都道府県の役所に電話して申請の予約を入れます。建設業許可と違い、役所にアポイントメント無しで行っても受け付けてもらえませんので、必ず電話しましょう。しかも、時期によってアポイントメントが取りづらいこともあります。1か月先になることも想定しておきましょう。このようにして、全ての申請先との予約を取っておきます。

次に、産業廃棄物収集運搬業許可申請書類作成についてです。許可申請に必要な提出書類は、必ず各都道府県の手引きを確認しましょう。東京都のものはこちらです。3~5ページに載っています。

注意すべき点は、登記を証明する書類や住民票などの書類は、申請日前3ヶ月以内に発行されたものを提出することです。

各都道府県の手引きには書き方も載っていますので、この手引きを隅から隅までよく読んで、書き方に沿って記入していけば、基本的に申請書類は作成できます。

申請書を提出するときは、正本1部・副本1部の合計2部を用意します。副本は申請者の控えとなりますので、役所で受付後に返却されます。

申請手数料は、東京都での新規申請の場合81,000円です。複数の都道府県に申請する場合は、それぞれ手数料がかかります。

申請が受理された後、審査が行われ、約2か月後に許可証が発行されますが、不許可の場合もあります。

4回にわたりご案内いたしました産業廃棄物収集運搬業の許可申請については、ここまでといたします。次回からは、相続・成年後見についてご案内いたします。

産業廃棄物収集運搬業の許可 その3

今回は、産業廃棄物収集運搬の許可を得るための要件についてご説明いたします。

要件は全部で三つあります。要件の一つでも満たしていなければ、許可されません。

最初の一つは、会社の役員が公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが行う講習会を受講して試験に合格していることです。役員のうち1人が合格していればOKですが、監査役は役員に含まれませんので注意が必要です。もしも、まだどの役員も合格していない場合、速やかにセンターのホームページから講習会参加の予約を入れることが必要です。2019年5月のものは、こちらに掲載されています。講習期間は2日間で、受講料がかかります。講習の最後に行われる修了試験に合格すると、後日、修了証が発行されます。

要件の二つ目は、産業廃棄物の処理を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有することです。要は、財政状況が健全であるという事です。債務超過の状態(自己資本がマイナス状態)にある場合は、収支計画書など追加資料を添付する必要があります。また、決算が黒字でも、繰越損があるときも注意してください。ただし、申請する都道府県によって財務状態の判断が異なりますので、実際に申請するときは各都道府県の手引きを確認しましょう。

三つ目の要件は、会社の役員、5%以上の株主比率を有する株主が、犯罪歴などの欠格要件に該当していないことです。この場合の役員には、監査役も含まれますので、注意してください。欠格要件の詳細はこちらです。欠格要件にはいろいろとありますが、例えば、傷害罪、暴行罪、脅迫罪などの罪を犯し、罰金の刑に処せられてから5年を経過していない場合も、欠格要件に該当します。

次回は、産業廃棄物収集運搬業許可の申請について、ご案内いたします。

産業廃棄物収集運搬業の許可 その2

今回は、石綿(アスベスト)含有産業廃棄物を収集運搬するときの注意点についてご説明いたします。

石綿(アスベスト)は、それによる健康被害が顕在化しているため、石綿(アスベスト)を含んだ産業廃棄物の処理基準は、排出事業者から収集運搬業者、最終処分場まで、厳しく規定されています。

解体工事を行う場合、この石綿(アスベスト)が含まれる廃材が発生することが多いです。それを収集運搬するとなると、あらかじめ石綿(アスベスト)含有産業廃棄物を処理できる業者(処分場)と契約を結んでおく必要があります。契約の際は、処分場から「産業廃棄物処分業許可証」のコピーを入手します。チェック項目で大切なものは、許可の有効年月日と石綿(アスベスト)が産業廃棄物の種類に記載されているかなどです。

どのようにしてその処分場を見つけて、契約までたどり着けば良いか、まずはご自身のネットワークを使い、処分場を紹介してもらうことができればそれが一番です。先輩や同業の仲間から紹介してもらえると、処分場の業者も安心して契約してくれると思います。

もし、全くそのようなネットワークがない場合は、各都道府県の処分場のリストに掲載されている業者へ、電話をかけて訪問する必要があります。処分場としても、信用できない業者とは契約を結びたくないでしょうから、確定申告書を用意するなどして、処分場から信頼してもらうようにする必要があります。

次回は、産業廃棄物収集運搬業許可の要件についてご案内いたします。

産業廃棄物収集運搬業の許可 その1

今回からしばらくは、建設業者や解体工事業者などの企業が、産業廃棄物収集運搬業の許可を取るためのご説明をしていきます。

まずは、産業廃棄物の定義についてです。

そもそも「廃棄物」とは、自分で利用したり他人に有償で売却できないために不要となったもので、固形状又は液状のもののことで、放射性物質及びこれによって汚染されたものは除かれます。

そして、「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、燃え殻など20種類及び輸入された廃棄物をいいます。一般家庭から排出されたごみは、一般廃棄物に分類され、産業廃棄物とはなりません。

事業活動に伴って生じる20種類の産業廃棄物はこちらです。ここで、事業活動とは製造業や設業等に限定されるものではなく、商業活動や、水道事業、学校等の公共事業も含めた広義の概念です。

また、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他人の健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れがある性状を有するもので、政令で定めるものを「特別管理産業廃棄物」といいます。こちらです。

次に、産業廃棄物に関わる許可の種類についてです。

産業廃棄物に関する許可は、①産業廃棄物収集運搬業・特別管理産業廃棄物収集運搬業、②産業廃棄物中間処分業・特別管理産業廃棄物中間処分業、③産業廃棄物最終処分業・特別管理産業廃棄物最終処分業に分かれます。

そして、ここからは、産業廃棄物収集運搬業の許可についてご説明していきます。

建設業では、建設現場で建築廃材が発生します。これは産業廃棄物となります。そこで、この産業廃棄物を処分場に運搬しなければいけません。そして、産業廃棄物を処分場に運搬するには「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要です。

産業廃棄物収集運搬業を行うには、収集する区域(建設現場)及び運搬先(処分場)を管轄する都道府県知事の両方の許可が必要となります。ここは建設業許可と違う点です。

次回は、石綿(アスベスト)含有産業廃棄物の手続きについてご案内いたします。

建設業許可申請 その5

今回は、建設業許可を受けるための、その他の要件についてご説明いたします。

前回まで、建設業許可を受けるための5つの要件のうち、①経営業務の管理責任者が常勤でいること、②専任の技術者を営業所ごとに常勤で置いていること、の2つをご案内しました。この2つが特に重要だったのですが、残りの3つの要件も備えておく必要があります。

請負契約に関して誠実性を有していること

法律では、請負契約に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者ではないこと、としています。法人や役員、個人事業主、支配人、支店長、営業所長等が対象です。「不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為です。一方、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期等、請負契約に違反する行為です。

請負契約を履行するに足る財産的基礎等のあること

一般建設業の許可を新規で受ける場合、次のいずれかに該当することが必要です。

①自己資本が500万円以上あること。 ⇒ 最近は資本金500万円以上の企業は少ないので、500万円未満の場合は、②を証明することになります。

②500万円以上の資金調達能力があること。 ⇒ 取引銀行から預金残高証明書を取り寄せます。申請受理日を基準として1か月以内証明が必要であり、その額が500万円以上であることです。

欠格要件等

欠格要件に該当するものは、許可を受けられません。法人や役員、個人事業主、支配人、支店長、営業所長等が、対象となります。

具体的な欠格要件は、東京都の場合、こちらの手引き9ページをご覧ください。

この中の⑥について、「刑法の特定の規定」とは、例えば暴行、傷害、窃盗などです。

ここまで、一般の建設業許可の申請について、ご説明してきました。

次回からは、産業廃棄物収集運搬業許可についてご案内いたします。

建設業許可申請 その4

今回は、専任の技術者について、ご説明いたします。

前回からの繰り返しになりますが、許可を受けて建設業を営もうとする全ての営業所に、専任の技術者を置くことが必要です。建設業許可を取りたい社長さんが、経営業務の管理責任者になり、更に専任の技術者も兼任することは可能です。

そして、専任の技術者の要件は、次のようなものです。

まず、該当する建設業の種類に対応した資格を有していればそれが一番です。具体的な資格区分については、役所の手引きを参照してください。東京都の手引きはこちらです。P62~63とP70に「技術者の資格」として載っています。

資格を有していない場合は、10年以上の実務経験を有するという条件に合うか確認します。ただし、高校卒(指定学科あり)であれば実務経験は5年以上に、大学卒(指定学科あり)であれば実務経験は3年以上というように、要件は緩和されます。指定学科については、前述の東京都の手引きでは、P60~61に掲載されています。

次に、実務経験の証明についてですが、働いている(いた)会社に証明してもらう必要があります。その会社に実際に勤務していたことを証明する書類は、厚生年金被保険者記録照会回答票や住民税特別徴収税額通知書の写し、確定申告書等です。

また、その会社が建設工事をしていたことの証明について、建設業許可を持っている会社の場合は、建設儀業許可申請書及び変更届け出書の写しを使用することになります。建設業許可を持っていない会社の場合は、工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書の写しなどを提示することになります。

但し、働いていたという実務経験の立証作業は、働いていた会社の協力が必要であり、かなり大変です。そのような場合の対応策としては、①ご自身がご自身の会社で更に実務経験を積み、要件を満たす、②外部から専任の技術者を連れてくる、などが考えられます。②については、身内の人間ではないということで、その人とトラブルが発生した場合のことを考えると、リスクが高くなると思います。

次回は、建設業許可を受けるためのその他の要件についてご案内いたします。

建設業許可申請 その3

今回は、建設業許可のための要件の一つである「経営業務の管理責任者が常勤でいること」をどのようにして証明していくかについて、ご説明いたします。

前回ご説明したように、経営業務の管理責任者の1つの要件に、「許可を受けようとする建設業(業種)に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者」がありました。

まずは、5年間経営業務の管理責任者だったという事の証明についてです。

例えば、会社の取締役であった場合は、登記簿謄本を取得して、取締役として登記されている(いた)ことを証明することができます。ただし、会社の目的として、許可を受けようとする建設業(業種)が登記されている(いた)必要があります。また、個人事業主であった場合は、登記簿謄本でなく確定申告書(5年分)を、証明するものとして使います。

そして、取締役として登記されていた企業が、本当に建設業を行っていたのかについても、証明する必要があります。ペーパーカンパニーではないことを証明するわけです。

基本的には、役員の期間であった5年分の資料を提示する必要があります。重いかもしれませんが、すべての資料を役所に持っていくつもりでいましょう。

①発注元からの注文書+自社からの工事請書 ⇒ 注文書は特に重要です。発注元企業の住所・名称・電話番号・印鑑を確認します。もしもなくしていたら、再発行してもらいましょう。

②請求書+請求した金額が入金されたことを証明できる銀行通帳 ⇒ 注文書がない場合は、このパターンです。ただし、請求書に建設工事の内容が記載されている必要があります。それがないときは、追加資料を求められることがあります。

③工事請負契約書(元請の場合) ⇒ 注文者と建設会社が相互に署名・捺印していますので、証明書類としては信頼性が高いです。1年間に4件、5年分で20件程度の書類が求められます。役所として、コンスタントに工事をしているか、事業の継続性を見たいはずです。できれば、複数の企業との契約書を用意するのがベターです。

次に、その経営業務の管理責任者が常勤していることの証明についてですが、住民票を使い、通勤圏内であることを裏付けます。通勤圏内とは、大体片道2時間以内です。その他としては、健康保険被保険者証です。これは会社に常勤している証明になります。

次回は、経営業務の管理責任者と同様に大切な「専任の技術者」がいることの証明についてご案内いたします。

建設業許可申請 その2

今回は、建設業の許可を受けるための要件についてご説明いたします。

許可を受けるためには、次の5つの要件を満たしていることが必要です。要件を一つでも満たしていないと、許可を受けることができません。

(1)経営業務の管理責任者が常勤でいること。

(2)専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること。

(3)請負契約に関して誠実性を有していること。

(4)請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること。

(5)欠格要件等に該当しないこと。

まず、(1)経営業務の管理責任者が常勤でいること、(2)専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること、の2つの要件を確認してみましょう。

(1)経営業務の管理責任者が常勤でいること ⇒ 法人の場合は常勤の役員のうち1人が、個人事業の場合は本人又は支配人のうち1人が、次の①から③のどれかに該当することが必要です。

①許可を受けようとする建設業に関し、過去5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること ⇒この場合の経験とは、営業取引の上で対外的に責任を有する地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理した経験のことを言います。要するに、建設業の経営者としての経験です。

②許可を受けようとする建設業以外の建設業(業種)に関し、6年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有していること 

③許可を受けようとする建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって経営業務を補佐していた経験を有していること ⇒ 判断がつかない場合は、事前に役所に確認してみましょう。

(2)専任の技術者を営業所ごとに常勤で置いていること ⇒ 全ての営業所には、次のいずれかに該当する専任の技術者を置くことが必要です。

一般建設業許可の場合、次のいずれかの要件に該当するものであること

①高校(指定学科あり)卒業後、5年以上の実務経験を有する者

②大学(指定学科あり)卒業後、3年以上の実務経験を有する者

③10年以上の実務経験を有する者(学歴・資格を問わない)

「専任の技術者」とは、その営業所に常勤して専ら職務に従事することを要する者をいいます。従いまして、名義だけの者や通勤不可能と思われる者は認められません。

「専任の技術者」と「経営業務の管理責任者」の双方の基準を満たしている者は、同一営業所内において、両者を一人で兼ねることができます。

「実務経験」とは、建設工事(業種)に関する技術上の経験を言います。具体的には、建設工事の施行を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わった経験をいいます。なお、「実務経験」は請負人の立場における経験のみならず、建設工事の注文者側において設計に従事した経験あるいは現場監督技術者としての経験も含まれます。ただし、工事現場の単なる雑務や事務の仕事は実務経験に含まれません。

このように、経営業務の管理責任者と専任の技術者については、慎重に選定する必要がありますので、役所のホームページや申請の手引きで最新の情報を入手し、必要に応じて、事前に役所に相談することをお勧めいたします。

次回は、「経営業務の管理責任者が常勤でいること」について、どのようにして証明していくかについてご案内いたします。

建設業許可申請 その1

今回からしばらくは、中小規模の企業における建設業許可申請についてご説明いたします。

日本の建設業の企業数(会社数+個人事業所数)は、平成28年3月末の時点で47万社弱という状況です。その内の99.9%が中小企業です。中小企業の定義は、資本金が3億円以下または常時雇用する従業員が300人以下の企業です。

建設業許可といいましても、建設業者すべてが建設業許可を必要とするわけではなく、以下の場合は許可がなくても建設業者として工事をすることが可能です。

許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)
A 建 築 一 式 工 事 以 外 の 建 設 工 事 の場合
1件の請負代金が500万円(注)未満の工事(消費税込み)
 建築一式工事で下のいずれかに該当する もの
(1) 1件の請負代金が1,500万円(注)未満の工事(消費税込み)
(2) 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
(主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)
(注)①一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額となります。
②注文者が材料を提供する場合は、市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えたものが上記の請負代金の額となります。

しかし、建設業の許可が必要でない場合でも、法令等で、資格や役所への登録が必要なこともありますので、念のため役所に確認しておきましょう。

次に、建設業の許可には、国土交通大臣許可と知事許可の2種類があります。1つの都道府県にのみ営業所がある場合は、知事許可を取ることになります。中小企業の場合、知事許可を取得するケースが多いと思います。「営業所」とは、本店、支店、又は建設工事の請負契約を締結する事務所のことをいい、次の要件を備えていることとされています。

(1)来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の実体的な業務を行っていること。

(2)電話、机、各種事務台帳等を備えていること。

(3)契約の締結等ができるスペースを有し、かつ、居住部分、他の法人や個人事業主とは明確に区分されているなど独立性が保たれていること。

(4)自己所有の建物か、賃貸借契約を結んでいること。

(5)看板や標識等で、建設業の営業所であることが分かるようにしてあること。

(6)経営業務の管理責任者又は建設工事の請負契約締結等の権限を付与された者が常勤していること。

(7)専任技術者が常勤していること。

従いまして、単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所等は、「営業所」に該当しません。

東京都で許可を受けた場合、営業活動や契約は東京都内の営業所でのみ行いますが、工事については他府県でも可能です。神奈川県の顧客から依頼された場合でも、東京都内の営業所で経営業務の管理責任者と専任技術者がチェックすれば、契約は可能です。

次に、建設工事と建設業の種類についてですが、全部で29種類あります。役所のホームページや手引きを読んでみてください。皆様がどの種類の許可が必要なのか、しっかりと確認してください。判断に困ったら、役所に相談しておきましょう。

次に、建設業の許可区分についてですが、一般建設業と特定建設業に区分されています。このうち特定建設業とは、①元請として契約を締結し、②工事の施工金額が4,000万円以上(建設一式は6,000万円以上)するケースです。4,000万円以上の工事を行う場合でも、下請としてであれば特定建設業の許可は不要です。

次回は、知事許可、一般建設業の許可を受けるための要件についてご案内いたします。

永住許可申請

今回は、永住許可申請、特に外国人である申請人が「日本人の配偶者等」の在留資格の場合についてご説明いたします。

まず、日本人の配偶者等の在留資格と永住許可がどう違うのかについてですが、前者の場合、在留期間が最長でも5年であり、5年に1度更新することになります。一方永住許可ですと、在留期間(満了日)はなくなりますが、在留カード有効期間というものがあり、それは7年間です。

次に、永住許可を申請する際の提出書類は、持っている在留資格の種類によって違うのですが、ここでは日本人の配偶者等の在留資格の場合について、ご案内いたします。

提出する書類はこちらです。

この中の6番、所得及び納税状況を証明する書類は、外国人の扶養者となる日本人が、市町村の役場に出向いて、ご自身の課税証明書や納税証明書を発行してもらいます。その他の項目については特に間違えることもなく、準備できると思います。

次に、永住許可がどのような場合に認められるかについて、「永住許可に関するガイドライン」が出されています。これです。まずは、外国人である申請者が、この中で述べられている要件を満たしているか確認することが大切です。

その中の「法律上の要件」(3)アについては、引き続き10年以上日本に在留していること、とされていますので、10年経たないうちに日本を離れて自国で生活した後に数年後に再度日本に戻ったとした場合には、この要件に合致しません。また、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留すること、の「居住資格」とは、結婚に伴っての居住資格のことです。(3)イについては、例えば交通違反による「罰金刑」も含まれますので、注意が必要です。

「2 原則10年在留に関する特例」については、あくまでも「特例」ですので、必ず許可されるわけではなく、ケースバイケースだということを認識しておく必要があります。(1)について、例えば結婚した後外国で3年間暮らした後、日本で1年以上在留したら、特例により永住許可が認められることがある、ということです。更に二人の間に子供がいれば、許可される可能性は高まるようです。

次に、提出後どのくらいで返事が来るかといいますと、法務省のホームページでは標準処理期間が4か月となっています。しかし、最近は入国管理局が大変込み合っている影響か、東京入国管理局の場合、許可されるまで7か月程度かかっているケースがあります。その場合でも、申請の時に窓口でおおよそどのくらいかかりますと、言ってもらえるようです。もちろん許可されるでしょうとかいう事は、言われません。

入国管理局の窓口で申請が受理されると、旅券(パスポート)が返され、受け付けましたという内容の紙(申請受付票)が渡されます。申請受付票には受付番号や問合せ電話番号が書かれています。申請後数か月たって、今どんな状況だろうと思って電話で問い合わせてみても、審査中ですとの返事が返ってくるだけで、具体的にどういう状況事は答えてもらえません。申請後はじっと待ち続けます。途中、海外に出ても構いません。

審査が終了すると、ある日、住所地に「通知書」と書かれたハガキが届きます。そこには結果を知らせるのでいつまでに来てくださいと書かれています。ハガキが届いて約1か月後の日付が押されています。この通知書を受け取ったら速やかに入国管理局に行きましょう。持参するものとして、旅券、在留カード、収入印紙(8,000円)、申請受付票、この通知書が書かれています。収入印紙については、通知書の8,000円の収入印紙欄にチェックが入っていますので、この時に、許可されたのかなと予想することができます。

入国管理局の窓口で新しい在留カードを受け取ります。在留資格は「永住者」、許可の種類は「永住許可(法務大臣)」と印刷されています。これで一安心です。

次回からは、建設業許可申請についてご案内いたします。