在留資格認定証明書申請(日本人の配偶者)

今回は、日本人の配偶者における、在留資格認定証明書交付申請についてご説明いたします。

日本人が外国人と結婚して、その外国人を日本へ呼び寄せて、日本で生活する場合、「日本人の配偶者」としての在留資格認定証明書申請が必要となります。

申請に必要な提出書類はこちらです。通常は日本にいる配偶者が準備するものとなります。

提出書類の中でも8番の「質問書」は、審査するにあたりとても大切な資料です。特に「結婚に至った経緯」は、しっかりと、又できる限り詳しく書きましょう。最近は、SNSで出会ったという方もいると思います。どんな形で出会ったにせよ、交際過程をしっかりと書くことが肝心です。

9番の「スナップ写真」は、申請後返却されませんので、あらかじめ写真を焼増ししておくと良いです。

そして、1番の「在留資格認定証明書交付申請書」について、書くべき個所は全て書きましょう。例えば、15番の同伴者の有無や、17番の過去の出入国歴など、必ずどちらかに○を入れる必要があります。27番の氏名は外国人と結婚した日本人の氏名を書きます。その下の署名欄にはその方が自署(肉筆)します。その右の申請書作成年月日欄には、署名した日にちを入れます。

ところで、世界には日本で働きたいという外国人がたくさんいます。「日本人の配偶者」として在留許可を得た外国人は日本での就労制限がなくなります。どのような職についてもよいということです。そこで、日本で稼ぐために偽装結婚しても良いという外国人もおり、又、それに手を貸そうとする日本人も存在します。当然ですが、偽装結婚自体が法律上無効です。たとえ偽装結婚して在留資格認定証明書を申請しても、当然認められることはありません。

次回は、永住許可申請についてご案内いたします。

在留資格認定証明書申請(人文知識・国際業務)

今回は、人文知識・国際業務における在留資格認定証明書交付申請時の提出書類についてご説明いたします。

提出書類は、どういった企業・機関であるかによって分けられた4つのカテゴリーごとに決められています。

カテゴリーと提出書類は法務省のホームページに載っています。これです。

企業・機関の事業内容だけでなく、雇用する予定の外国人の資料も提出することになりますので、しっかりと把握し、それを証明する書類を入手することが大切です。

全カテゴリーに共通する提出書類は、1から5までです。中小企業は、ほとんどがカテゴリー3又はカテゴリー4に当てはまりますので、6以降の書類も必要になります。

法務省のホームページに載せられている提出書類は最低限のものです。実態を証明あるいは詳しく説明する資料も、追加資料として任意で提出することが可能です。例えば理由書というものです。提出書類だけでは説明できない、外国人と企業・機関の活動内容の関連性を説明したり、企業・機関の安定性や継続性をまとめたものです。

在留資格認定証明書交付申請の提出先は、企業・機関の所在地を管轄している入国管理局となります。

次回は、日本人の配偶者における在留資格認定証明書交付申請についてご案内いたします。

在留資格認定証明

前回、就労させたい外国人が日本に入国して上陸許可を得るためには、在留資格認定証明書を取得することが大切だとご説明いたしました。

今回は、この在留資格認定証明書について、もう少し詳しく述べていきたいと思います。

日本にいる代理人が在留資格認定証明書の申請をするのですが、認定されるには在留資格に関する適合性該当性が必要とされています。

在留資格の該当性とは、外国人が日本で行える活動や身分を分類した在留資格に当てはまるかどうかのことです。例えば、トラック運転手として雇用したいとしても、運転手として就労を認める在留資格はありません。従って、該当性なしとされてしまい、在留資格認定証明書の発行は認められません。就労できる在留資格は主に次のようなものです。単純労働は認められていません。

①経営・管理 ⇒ 外国系企業の経営者や管理者

②法律・会計業務 ⇒ 弁護士や会計士

③技術・人文知識・国際業務 ⇒ 技術者、通訳、デザイナー、民間企業の語学講師等

④興業 ⇒ 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等

⑤技能 ⇒ 外国料理の調理師等

次に適合性ですが、その外国人が、該当する在留資格に適しているかどうかということです。その基準を適合基準と呼び、法務省令で具体的に示されています。

ここでは、中小企業の外国人雇用の中で一番多い、人文知識・国際業務のケースについて、説明していきます。

尚、出入国管理及び難民認定法(入管法)によりますと、人文知識・国際業務に該当する活動は、日本の公私の機関との契約に基づいて行う法律学・経済学・社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動とされています。

その人文知識・国際業務の適合基準は、外国人が次のいずれにも該当していることとなっています。

①人文科学の分野に属する知識を必要とする業務の場合、それに関係する科目を専攻して大学を卒業していること。又は、従事しようとする業務について10年以上の実務経験があること。

②外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務の場合、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務(貿易)、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務であり、加えてその業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳、語学の指導に従事するときは経験不要。

③報酬について、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上とすること。

多くの企業が②の通訳あるいは海外取引業務(貿易)として、外国人の雇用を考えると思われますが、学歴要件や実務経験の要件を満たしているか、確認が必要です。また、③の報酬については、日本人よりも安い報酬はダメということですので、外国人を安く雇用しようという考えは通用しません。

更に、外国人を雇用する会社がそれにふさわしい企業であるかも問われます。例えば、通訳や貿易業務に従事してもらうという内容で申請したにもかかわらず、実際は貿易業務を行っていなかったり行う予定がない場合、申請は認められません。

外国人を雇うに際しては、会社として、外国人材にどのような業務をしてもらいたいのかを決めること、その業務が在留資格に当てはまるのかを確認すること、その外国人が在留資格を得るための要件を満たした人物かを確認することが、ポイントとなります。

今まで述べてきたように、在留資格認定証明書交付の条件として、①申請活動が虚偽でないこと、②在留資格に該当すること(該当性)、③法務省令の基準に適合すること(適合性)などがありますが、④上陸拒否理由に該当しないこと、も挙げられます。これは、欠格要件といわれるもので、例えば、感染症にかかっているもの、日本又は他国で1年以上の懲役・禁固刑に処せられたもの、過去に上陸拒否、強制退去・出国命令を受けたものなどです。

次回は、人文知識・国際業務に係る在留資格認定証明書の申請について、ご案内いたします。

中小企業の外国人雇用

今回からしばらくは、中小企業の外国人雇用についてご説明していきます。

2018年の訪日外国人観光客数が3,000万人を超えました。また、政府の外国人材受け入れ拡大政策により、日本で就労する外国人が今後さらに増えていきます。

日本の大企業では、外国人社員を雇うことは珍しくなくなりました。一方、中小企業にとっても、会社の発展のために外国人社員に活躍してもらう時代になりました。

しかし、どのようにして外国人を採用して活躍してもらうのか、中小企業の経営者にとって課題です。その課題達成のためには、外国人の入国・在留の手続きや仕組みを一通り理解しておくことが基本となります。そこで今回は、外国人の入国までの流れについて、ご説明いたします。

まず、就労目的の外国人が日本へ入国するまでの手順は次の通りです。

①日本の代理人(企業、行政書士等)が事前に入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を行います。

②在留資格認定証明書が交付されたら、外国にいる外国人へ郵送します。

③外国人は、在留資格認定証明書と旅券(パスポート)をもって、外国にある日本大使館・領事館に査証(ビザ)の発給申請を行います。

④査証を受けたら、日本に入国して上陸許可を受けます。

⑤認められた資格活動(就労)が行えます。

③でいう査証(ビザ)とは、外国にある日本大使館・領事館が、日本に入国しようとする外国人の旅券(パスポート)に貼り付けるもので、日本への入国を推薦するという意味をもっています。

また、在留資格認定証明書とは、外国人が日本において行おうとする活動(就労)が上陸のための条件に適合しているか法務大臣が事前に審査を行い、認められた場合に交付されるものです。

在留資格認定証明書があれば、外国にある日本大使館・領事館での査証の発給は迅速に行われますし、日本入国時の上陸審査も簡易で迅速に行われます。

日本で就労しようとする外国人は、自国の旅券(パスポート)を持っていることが大前提となります。それがないと始まりませんが、査証(ビザ)を取得するには、在留資格認定証明書がとても大切となります。

次回はこの在留資格認定証明書について、もう少し詳しくご案内いたします。

都道府県知事への定期報告について

今回は、住宅宿泊事業者が行う必要のある、都道府県知事への定期報告についてご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の15日までに、それぞれの月の前2か月における、次に掲げる事項を知事(権限委譲している市区においては、その市区長)に報告する必要があります。
・ 届出住宅に人を宿泊させた日数
・ 宿泊者数
・ 延べ宿泊者数
・ 国籍別の宿泊者数の内訳

この定期報告は、「民泊制度運営システム」をダウンロードしてから利用することになります。原則、このシステムを使用して報告します。ただし、自治体によっては独自の様式を定めている場合がありますので、情報の確認が必要です。

「民泊制度運営システム」を使うことができず、紙の定期報告を行う場合は、参考様式を使って報告することになります。 

以前ご案内した、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者へ委託している場合、宿泊者名簿の記載を住宅宿泊管理業者が行うことになるので、情報の共有や提供について住宅宿泊管理業者と取り決めておくことが大切です。

さて、11回にわたりご紹介して参りました住宅宿泊事業者(民泊のオーナー)が準備すべきことについては、今回でいったん区切りといたします。

次回からは、中小企業の外国人雇用、外国人の永住許可申請についてご案内いたします。

標識の掲示について

今回は、住宅宿泊事業者が行わなければいけない標識の掲示についてご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、見やすい場所に、下の図のような標識を掲げなければいけません。

標識は、門扉、玄関(建物の正面入り口)などの、地上1.2メートル以上1.8メートル以下で、公衆が見やすい位置に掲示します。

標識は、ラミネート加工など、風雨に強いものを掲示する必要があります。

尚、分譲マンションの場合は、標識の掲示場所等の取扱いについて、あらかじめ管理組合と相談する必要があります。

次回は、都道府県知事への定期報告についてご案内いたします。

住宅宿泊管理業務の委託

今回は、住宅泊事業者が管理業務を専門の「住宅宿泊管理業者」に委託しなければならない場合についてご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、次のいずれかに該当する場合、管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する必要があります。

①届出住宅の居室の数が5部屋を超えるとき

②届出住宅に人を宿泊させている間、不在となるとき ⇒ 例えば、生活必需品の購入等、日常生活で通常行われる行為による不在の場合は「不在」とはなりません。一方、業務等により継続的に長時間不在となる場合は「不在」となります。不在の時間ですが、原則1時間となりますが、最寄り店舗の位置が遠かったり交通手段の状況が悪いときは、2時間までとされています。また、不在中においても、宿泊者の安全の確保に努めることとされています。そして、住宅宿泊事業者の代わりにその友人や親類の人が届出住宅にいたとしても、「不在」とされますので、注意が必要です。

管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、1つの業者に委託しなければならず、2つ以上の業者に分割して委託することはできません。また、管理業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行うことも認められません。

住宅宿泊管理業者へ委託している間に、住宅宿泊事業者が不在にしなくてはならないということはありません。

次に、話は少し変わりますが、住宅宿泊事業者は、宿泊者との宿泊サービス提供契約を他人に委託するときは、専門の住宅宿泊仲介業者(例えばairbnbなど)又は旅行業者(例えばHISなど)に委託しなければいけません。

今では色々な会社が住宅宿泊仲介事業に参入していますので、選択肢は多いと思います。

次回は、標識の掲示についてご案内いたします。

苦情への対応

今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「苦情等への対応」について、ご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速に対応しなければいけません。

具体的には、次のような対応が必要となります。

・深夜早朝を問わず、常時、応対又は電話により対応する必要があります。

・宿泊者が滞在していない間も、苦情及び問合せについては対応する必要があります。

・誠実に対応することが必要であり、例えば、回答を一時的に保留する場合であっても、相手方に回答期日を明示した上で後日回答する等の配慮が必要です。

・滞在中の宿泊者の行為により苦情が発生している場合において、この宿泊者に対して注意等を行っても改善がなされないような場合には、現場に急行して退室を求める等、必要な対応を講じる必要があります。

・苦情及び問合せが、緊急の対応を要する場合には、必要に応じて警察署、消防署、医療機関等に連絡したのち、自らも現場に急行して対応することが必要です。

そして、住宅宿泊事業を行う旨の届出をするにあたって、周辺地域の住民に対して、事前に説明することが望ましいです。

このように、民泊事業を行うには、日常業務として様々な対応が求められます。この業務を「住宅宿泊管理業務」と呼びます。

そして、住宅宿泊事業者(民泊のオーナー)が住宅宿泊管理業務を、専門の業者へ委託する仕組みがあります。

次回は、この住宅宿泊管理業務の委託について、ご案内いたします。

周辺地域の生活環境への影響の防止

今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関する必要な事項」の説明を致します。宿泊者からの騒音で周辺住民の生活に影響が及ばぬよう、予防するための措置についてです。

住宅宿泊事業者は、宿泊者に対して、書面の備付けその他の方法により、以下のことを説明する必要があります。外国人宿泊者に対しては、外国語で説明することになります。

①騒音の防止のために配慮する事項 ⇒ 例えば、大声での会話を控えること、深夜に窓を閉めること、バルコニー等屋外で宴会を開かないこと、住宅内で楽器を演奏しないこと等が考えられます。

②ごみの処理に関して配慮すべき事項 ⇒ 宿泊中に出たごみは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に従い、住宅宿泊事業者が責任をもって処理しなければいけません。住宅宿泊事業者は、宿泊者に対して、所在する市町村の廃棄物の分別方法に沿って、住宅宿泊事業者が指定する方法によって捨てるべきであることを説明する必要があります。

③火災の防止のために配慮すべき事項 ⇒ 例えば、ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法や注意事項、消火器の使用方法、避難経路、通報措置などが考えられます。

④その他周辺地域の生活環境への悪影響を防止するために配慮すべき事項 ⇒ 例えば、性風俗サービスを届出住宅内で利用しないことなどが考えられます。

上記についての説明方法としては、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることや、タブレット端末での表示などとなります。。必ずしも対面での説明が必要というわけではありません。

この説明が確実に行わるように、居室内に電話を設置するなどして、事前説明に応じない宿泊客に対し注意喚起する必要があります。

次回は、苦情等への対応についてご案内いたします。

宿泊者名簿の備付け等

今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「宿泊者名簿の備付け」について、ご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、届出住宅又は事務所に宿泊者名簿を備えなければなりませんが、宿泊者名簿に記載しておく項目は次の通りです。

・宿泊者の氏名・住所・職業・宿泊日

・日本に住所を有しない外国人の場合、上に加えて国籍と旅券(パスポート)番号

宿泊者名簿は3年間保存し、都道府県知事から要求があった時には、これを提出する必要があります。

電子データで宿泊者名簿を作成・保管することもできますが、紙で出力できる状態にしておくことが必要です。

宿泊者名簿には、宿泊者全員を記載しなければならず、代表者のみを記載することはできません。また、宿泊グループごとに宿泊者が分かるように記載する必要があります。

宿泊者名簿は正確に記載されていることが必要ですので、住宅宿泊事業者は、宿泊が開始されるまでに、宿泊者全員について、本人確認をすることが求められています。

本人確認は、対面又は対面と同等の方法(届出住宅に備え付けたテレビ電話など)により行うことになります。

住宅宿泊事業者は、宿泊者に対して、宿泊者名簿への正確な記載を働きかけることで本人確認をすることになります。

また、日本に住所を有しない外国人宿泊者については、宿泊者名簿への国籍・旅券(パスポート)番号の記載を徹底し、旅券(パスポート)の呈示を求めるとともに、旅券(パスポート)の写しを宿泊者名簿とともに保存することが必要です。これにより、宿泊者名簿の氏名・国籍・旅券(パスポート)番号の欄への記載を代替することも可能となります。

尚、宿泊契約が7日以上となる長期滞在者の場合、不審な者が滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないかについて、定期的な面会により確認することが求められます。

次回は、周辺地域への悪影響の防止についてご案内いたします。