標識の掲示について

今回は、住宅宿泊事業者が行わなければいけない標識の掲示についてご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、見やすい場所に、下の図のような標識を掲げなければいけません。

標識は、門扉、玄関(建物の正面入り口)などの、地上1.2メートル以上1.8メートル以下で、公衆が見やすい位置に掲示します。

標識は、ラミネート加工など、風雨に強いものを掲示する必要があります。

尚、分譲マンションの場合は、標識の掲示場所等の取扱いについて、あらかじめ管理組合と相談する必要があります。

次回は、都道府県知事への定期報告についてご案内いたします。

住宅宿泊管理業務の委託

今回は、住宅泊事業者が管理業務を専門の「住宅宿泊管理業者」に委託しなければならない場合についてご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、次のいずれかに該当する場合、管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する必要があります。

①届出住宅の居室の数が5部屋を超えるとき

②届出住宅に人を宿泊させている間、不在となるとき ⇒ 例えば、生活必需品の購入等、日常生活で通常行われる行為による不在の場合は「不在」とはなりません。一方、業務等により継続的に長時間不在となる場合は「不在」となります。不在の時間ですが、原則1時間となりますが、最寄り店舗の位置が遠かったり交通手段の状況が悪いときは、2時間までとされています。また、不在中においても、宿泊者の安全の確保に努めることとされています。そして、住宅宿泊事業者の代わりにその友人や親類の人が届出住宅にいたとしても、「不在」とされますので、注意が必要です。

管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、1つの業者に委託しなければならず、2つ以上の業者に分割して委託することはできません。また、管理業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行うことも認められません。

住宅宿泊管理業者へ委託している間に、住宅宿泊事業者が不在にしなくてはならないということはありません。

次に、話は少し変わりますが、住宅宿泊事業者は、宿泊者との宿泊サービス提供契約を他人に委託するときは、専門の住宅宿泊仲介業者(例えばairbnbなど)又は旅行業者(例えばHISなど)に委託しなければいけません。

今では色々な会社が住宅宿泊仲介事業に参入していますので、選択肢は多いと思います。

次回は、標識の掲示についてご案内いたします。

苦情への対応

今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「苦情等への対応」について、ご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速に対応しなければいけません。

具体的には、次のような対応が必要となります。

・深夜早朝を問わず、常時、応対又は電話により対応する必要があります。

・宿泊者が滞在していない間も、苦情及び問合せについては対応する必要があります。

・誠実に対応することが必要であり、例えば、回答を一時的に保留する場合であっても、相手方に回答期日を明示した上で後日回答する等の配慮が必要です。

・滞在中の宿泊者の行為により苦情が発生している場合において、この宿泊者に対して注意等を行っても改善がなされないような場合には、現場に急行して退室を求める等、必要な対応を講じる必要があります。

・苦情及び問合せが、緊急の対応を要する場合には、必要に応じて警察署、消防署、医療機関等に連絡したのち、自らも現場に急行して対応することが必要です。

そして、住宅宿泊事業を行う旨の届出をするにあたって、周辺地域の住民に対して、事前に説明することが望ましいです。

このように、民泊事業を行うには、日常業務として様々な対応が求められます。この業務を「住宅宿泊管理業務」と呼びます。

そして、住宅宿泊事業者(民泊のオーナー)が住宅宿泊管理業務を、専門の業者へ委託する仕組みがあります。

次回は、この住宅宿泊管理業務の委託について、ご案内いたします。

周辺地域の生活環境への影響の防止

今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関する必要な事項」の説明を致します。宿泊者からの騒音で周辺住民の生活に影響が及ばぬよう、予防するための措置についてです。

住宅宿泊事業者は、宿泊者に対して、書面の備付けその他の方法により、以下のことを説明する必要があります。外国人宿泊者に対しては、外国語で説明することになります。

①騒音の防止のために配慮する事項 ⇒ 例えば、大声での会話を控えること、深夜に窓を閉めること、バルコニー等屋外で宴会を開かないこと、住宅内で楽器を演奏しないこと等が考えられます。

②ごみの処理に関して配慮すべき事項 ⇒ 宿泊中に出たごみは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に従い、住宅宿泊事業者が責任をもって処理しなければいけません。住宅宿泊事業者は、宿泊者に対して、所在する市町村の廃棄物の分別方法に沿って、住宅宿泊事業者が指定する方法によって捨てるべきであることを説明する必要があります。

③火災の防止のために配慮すべき事項 ⇒ 例えば、ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法や注意事項、消火器の使用方法、避難経路、通報措置などが考えられます。

④その他周辺地域の生活環境への悪影響を防止するために配慮すべき事項 ⇒ 例えば、性風俗サービスを届出住宅内で利用しないことなどが考えられます。

上記についての説明方法としては、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることや、タブレット端末での表示などとなります。。必ずしも対面での説明が必要というわけではありません。

この説明が確実に行わるように、居室内に電話を設置するなどして、事前説明に応じない宿泊客に対し注意喚起する必要があります。

次回は、苦情等への対応についてご案内いたします。

宿泊者名簿の備付け等

今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「宿泊者名簿の備付け」について、ご説明いたします。

住宅宿泊事業者は、届出住宅又は事務所に宿泊者名簿を備えなければなりませんが、宿泊者名簿に記載しておく項目は次の通りです。

・宿泊者の氏名・住所・職業・宿泊日

・日本に住所を有しない外国人の場合、上に加えて国籍と旅券(パスポート)番号

宿泊者名簿は3年間保存し、都道府県知事から要求があった時には、これを提出する必要があります。

電子データで宿泊者名簿を作成・保管することもできますが、紙で出力できる状態にしておくことが必要です。

宿泊者名簿には、宿泊者全員を記載しなければならず、代表者のみを記載することはできません。また、宿泊グループごとに宿泊者が分かるように記載する必要があります。

宿泊者名簿は正確に記載されていることが必要ですので、住宅宿泊事業者は、宿泊が開始されるまでに、宿泊者全員について、本人確認をすることが求められています。

本人確認は、対面又は対面と同等の方法(届出住宅に備え付けたテレビ電話など)により行うことになります。

住宅宿泊事業者は、宿泊者に対して、宿泊者名簿への正確な記載を働きかけることで本人確認をすることになります。

また、日本に住所を有しない外国人宿泊者については、宿泊者名簿への国籍・旅券(パスポート)番号の記載を徹底し、旅券(パスポート)の呈示を求めるとともに、旅券(パスポート)の写しを宿泊者名簿とともに保存することが必要です。これにより、宿泊者名簿の氏名・国籍・旅券(パスポート)番号の欄への記載を代替することも可能となります。

尚、宿泊契約が7日以上となる長期滞在者の場合、不審な者が滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないかについて、定期的な面会により確認することが求められます。

次回は、周辺地域への悪影響の防止についてご案内いたします。

外国人観光客宿泊者の快適性と利便性の確保

今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「外国人観光客である宿泊者の快適性と利便性の確保」について、ご説明いたします。

住宅宿泊事業法(民泊新法)では、住宅宿泊事業者は、外国人観光客である宿泊者に対し、以下のことを講じる必要があるとしています。

①届出住宅の設備の使用方法に関する案内を外国語を用いてすること

②移動のための交通手段に関する情報提供を外国語を用いてすること

これは、最寄りの駅等への経路と利用可能な交通機関に関する情報のことです。

③火災・地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内を外国語を用いてすること

これは消防署・警察署・医療機関・住宅宿泊事業者への連絡方法の情報を提供する事です。緊急時に速やかに確認できるものを備えておく必要があります。

④快適性と利便性を確保するための措置を行うこと

上記①から④までの措置の実施にあたっては、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けるほか、タブレット端末への表示などにより、外国人観光客である宿泊者が必要に応じて閲覧できるようにしておくことになります。

尚、宿泊予約の時点で、外国人観光客である宿泊者が、日本語を指定した場合は、外国語での案内は不要となります。

次回は、宿泊者名簿の備付けについてご案内いたします。

住宅宿泊事業者の衛生確保措置

今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「衛生確保措置」と「宿泊者の安全の確保」について、ご説明いたします。

まずは、衛生確保措置についてです。

住宅宿泊事業法(民泊新法)では、届出住宅について、住宅宿泊事業者は、床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃や宿泊者の衛生の確保を図るための措置をとることとされています。

居室の床面積は、宿泊者一人当たり3.3㎡以上を確保することが必要です。

また、居室の床面積には、台所や浴室、トイレや洗面所、廊下や押し入れ、床の間は含まれません。

そして、定期的な清掃と換気を行うこととされています。

次に、宿泊者の安全の確保についてです。

住宅宿泊事業法(民泊新法)では、住宅宿泊事業者は、届出住宅において、非常用照明器具の設置、避難経路の表示、災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るための措置を取らなければならないとしています。

但し、届出住宅が1戸建ての住宅や民泊が禁止されていないマンションの場合、家主が同居していて宿泊室の床面積が50㎡以下であれば、非常用照明器具の設置は不要です。

また、消防法令に基づいて規制を受ける場合や、市町村の火災予防条例に基づいて防火対象物使用開始届の提出が必要となる場合がありますので、届出の前に、建物の所在地を管轄する消防署などに確認する必要があります。


今回は、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、「衛生確保措置」と「宿泊者の安全の確保」について、ご説明いたしました。

次回は、引き続き、住宅宿泊事業(民泊事業)の適正な遂行のための措置のうち、外国人観光客宿泊者の快適性と利便性の確保などについてご案内いたします。

民泊新法のガイドライン その2

今回は住宅宿泊事業法(民泊新法)のガイドラインの中の、住宅宿泊事業の定義についてご説明いたします。

まず、この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法に基づいて営業する人以外の方が、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業です。そして、「人を宿泊させる日数」として、1年間で180日を超えないこととなります。180日はOKですが、181日では✖となります。

1年間とは、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間です。

「人を宿泊させる日数」とは、住宅宿泊事業者(個人の住宅を民泊として提供する方)ごとではなく、届出をした住宅ごとに計算します。例えば、1軒の住宅について、年の途中で住宅宿泊事業者に変更があった場合でも、新しい住宅宿泊事業者は前の住宅宿泊事業者が人を宿泊させた日数を引き継ぐことになります。

また、日数の算定については、宿泊料を受けて実際に人を宿泊させた日数を計算するもので、宿泊者を募集した日数ではありません。

そして、「人を宿泊させる日数」は届出住宅ごとに計算するので、例えば複数の宿泊グループが同一日に宿泊したとしても、複数日ではなく、1日として計算します。

ところで、住宅宿泊事業(民泊事業)は、旅館業と異なり宿泊拒否の制限を課されていません。例えば宿泊の条件として、合理的な範囲で宿泊者に対して一定の要件を提示しても住宅宿泊事業法に反しません。しかし、宿泊拒否の理由が差別的なものである場合や偏見に基づくものである場合は社会通念上、不適切となることもあるので留意することが必要です。

今回は住宅宿泊事業法(民泊新法)のガイドラインの中の、住宅宿泊事業の定義についてご説明いたしました。

次回は、衛生確保措置や騒音防止のための説明など、住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置についてご案内いたします。

民泊新法のガイドライン その1

今回は、住宅宿泊事業法(民泊新法)のガイドラインの中の、住宅の定義についてご説明いたします。

このガイドラインは、住宅宿泊事業法(民泊新法)に係る解釈・留意事項を取りまとめたものです。

まず、「住宅」の定義ですが、次の二つの要件いずれにも該当する家屋であることとしています。

一つ目は、台所・浴室・トイレ・洗面設備など、生活するために必要な設備があることです。

二つ目は、現に人が居住している家屋であるか入居者の募集が行われている家屋、或いは随時その所有者、賃借人又は転借人が居住している家屋であることです。

一つ目の「設備」について、これらの設備は必ずしも1棟の建物内にある必要はなく、例えば浴室のない「離れ」について、浴室のある同一敷地内の「母屋」と併せて一つの「住宅」として届け出ることは可能です。

また、いわゆる3点ユニットバスのように、一つの設備が複数の機能(浴室・トイレ・洗面設備)を有している場合でも、各設備を有していると見なされます。

各設備は一般的に求められる機能を有していればよく、例えば浴室については、浴槽がなくてもシャワーがあれば足り、トイレについては和式・洋式の別は問われません。

次に二つ目の「居住」に関しては、現に特定の人が継続して生活している家屋のことです。また、その家屋の所在地を住民票上の住所としている人が届出をする場合は、現に人が生活している家屋に該当しているといえます。

また、「入居者の募集が行われている家屋」とは、民泊事業を行っている間、売却または賃貸の形態で、人が居住するための入居者の募集を行っている家屋のことです。

そして、「随時その所有者、賃借人又は転借人が居住している家屋」の具体例として、①別荘等1年に数回程度利用している家屋、②転勤により一時的に居住地を移しているものの、将来的に再度居住するために所有している空き家、③相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、将来的に居住する予定である空き家、④別宅として使用している古民家などがあげられます。

要は、既存の家屋において、その所有者や賃借人等が使用の権限を有しており、少なくとも年一回以上は使用しているものの、生活の本拠としては使用していない家屋のことです。

一方、居住した履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは、これには該当しないので注意が必要です。

今回は、住宅宿泊事業法(民泊新法)のガイドラインの中の、住宅の定義についてご説明致しました。

次回は、同ガイドラインの中の、住宅宿泊事業の定義についてご案内いたします。

民泊新法での住宅宿泊事業者

2018年の外国人訪日客数が3,000万人を超え、来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、自宅を利用した民泊に興味をもつ方も多いのではないでしょうか。

民泊の場合、主な登場人物は宿泊者、住宅宿泊事業者、住宅宿泊仲介事業者、そして住宅宿泊管理業者です。

このうち、個人の住宅を民泊として提供する方を「住宅宿泊事業者」と呼びます。民泊新法では、この住宅宿泊事業者に係る制度が創設されました。

それによりますと、年間提供日数の上限は180日(泊)とし、都道府県知事への届出が必要となります。また、地域の実情を反映する仕組みも創設され、具体的には自治体による条例による規制も可能となっています。

家主には、例えば衛生確保措置や騒音防止のための説明、苦情への対応や宿泊者名簿の作成・備え付け、標識の掲示などが義務付けられています。

家主が不在の住宅の場合、上記の措置を「住宅宿泊管理者」に委託することが義務付けられています。

そして、都道府県知事は、住宅宿泊事業者に係る監督を実施することになっています。

このように、制度がはっきりと定められましたが、住宅宿泊事業法に係る解釈や留意事項をとりまとめたガイドラインも発表されていますので、次回はそれをご案内していきたいと思います。