建設業許可申請 その1

今回からしばらくは、中小規模の企業における建設業許可申請についてご説明いたします。

日本の建設業の企業数(会社数+個人事業所数)は、平成28年3月末の時点で47万社弱という状況です。その内の99.9%が中小企業です。中小企業の定義は、資本金が3億円以下または常時雇用する従業員が300人以下の企業です。

建設業許可といいましても、建設業者すべてが建設業許可を必要とするわけではなく、以下の場合は許可がなくても建設業者として工事をすることが可能です。

許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)
A 建 築 一 式 工 事 以 外 の 建 設 工 事 の場合
1件の請負代金が500万円(注)未満の工事(消費税込み)
 建築一式工事で下のいずれかに該当する もの
(1) 1件の請負代金が1,500万円(注)未満の工事(消費税込み)
(2) 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
(主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)
(注)①一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額となります。
②注文者が材料を提供する場合は、市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えたものが上記の請負代金の額となります。

しかし、建設業の許可が必要でない場合でも、法令等で、資格や役所への登録が必要なこともありますので、念のため役所に確認しておきましょう。

次に、建設業の許可には、国土交通大臣許可と知事許可の2種類があります。1つの都道府県にのみ営業所がある場合は、知事許可を取ることになります。中小企業の場合、知事許可を取得するケースが多いと思います。「営業所」とは、本店、支店、又は建設工事の請負契約を締結する事務所のことをいい、次の要件を備えていることとされています。

(1)来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の実体的な業務を行っていること。

(2)電話、机、各種事務台帳等を備えていること。

(3)契約の締結等ができるスペースを有し、かつ、居住部分、他の法人や個人事業主とは明確に区分されているなど独立性が保たれていること。

(4)自己所有の建物か、賃貸借契約を結んでいること。

(5)看板や標識等で、建設業の営業所であることが分かるようにしてあること。

(6)経営業務の管理責任者又は建設工事の請負契約締結等の権限を付与された者が常勤していること。

(7)専任技術者が常勤していること。

従いまして、単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所等は、「営業所」に該当しません。

東京都で許可を受けた場合、営業活動や契約は東京都内の営業所でのみ行いますが、工事については他府県でも可能です。神奈川県の顧客から依頼された場合でも、東京都内の営業所で経営業務の管理責任者と専任技術者がチェックすれば、契約は可能です。

次に、建設工事と建設業の種類についてですが、全部で29種類あります。役所のホームページや手引きを読んでみてください。皆様がどの種類の許可が必要なのか、しっかりと確認してください。判断に困ったら、役所に相談しておきましょう。

次に、建設業の許可区分についてですが、一般建設業と特定建設業に区分されています。このうち特定建設業とは、①元請として契約を締結し、②工事の施工金額が4,000万円以上(建設一式は6,000万円以上)するケースです。4,000万円以上の工事を行う場合でも、下請としてであれば特定建設業の許可は不要です。

次回は、知事許可、一般建設業の許可を受けるための要件についてご案内いたします。

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