技能実習生の厚生年金保険への加入について

技能実習生を受け入れるに当たり、監理団体は当然として、実習実施者(受入れ企業)は、厚生年金保険への加入について、理解して手続きをすることが必要です。

厚生労働省は、「技能実習生の厚生年金保険への加入手続きのお願い」を事業主の皆様へという形で発信しています。こちらです。それによりますと、次のようなことが書かれています。

  • 私たちの人生には、本人又は家族の自立した生活が困難になるリスクがありますが、そのリスクに個人で備えるには限界があります。
  • 技能実習生が日本に滞在中にも、同じように、自立した生活が困難になるリスクがあります。
  • 公的年金制度は、あらかじめ保険料を納めておき、必要な時に給付を受ける制度ですが、このようなリスクへの保障の必要性については国籍による違いはありませんj。
  • このため、日本に住む外国人についても、厚生年金保険の適用事業所で就労している方は、厚生年金保険に加入することとされています。
  • 上記のような厚生年金制度の目的をご理解いただき、技能実習生について厚生年金保険への加入手続きをお願い致します。
  • 技能実習生の皆様が厚生年金保険制度について理解されるよう、別添のとおりお知らせ頂きますよう、お願い致します。

そして、「厚生年金保険のご案内」が技能実習生の皆様へという形で添えられています。日本語文に英語が併記されています。

それによりますと、冒頭では、厚生年金保険の保険料は、受入れ企業と本人が折半で負担することとされており、本人負担分は給与から控除されると書かれています。

そのあとに「受けられる給付」として、①障害の状態になったときの障害厚生年金、②亡くなったときの遺族厚生年金、③帰国するとき・高齢になったときの脱退一時金・老齢厚生年金、④3号技能実習生として実習を受けようとする方への追加のご案内(脱退一時金)がまとめて書かれています。どれも基本的かつ重要なことです。

受入れ企業と技能実習生が、公的年金についての正しい理解をしたうえで、受入れ企業は確実に加入手続きをする必要があります。

技能実習制度 不正行為に対する処分について

今回は、技能実習制度における、不正行為に対する処分についてご説明いたします。

一昨日令和元年9月6日、法務省出入国在留管理庁と厚生労働省は、複数の企業について、技能実習計画の認定の取り消しと改善の命令を発表しました。その中で、日本を代表する企業である日立製作所が改善命令処分を受けています。出入国在留管理庁の発表はこちらです。厚生労働省からの発表はこちらです。内容は同じです。

技能実習の現行制度によると、外国人技能実習機構や主務大臣等は、定期的な実地検査、技能実習生からの相談・申告、労働基準監督機関・地方入管局等からの通報などに基づき、実地検査等を行うことになります。その結果、許可基準違反や法令違反等があれば、主務大臣等が、事業者名等を公表し、①許可・認定の取り消し、②業務停止命令、③改善命令の処分を行います。

①許可・認定の取消しは、重大な許可・認定基準違反、法令違反等があれば、この処分となります。

②業務停止命令は、許可基準違反や法令違反に対し、期間を定めて業務停止を命令するもので、同時に改善命令を出すこともあります。

③改善命令は、出入国・労働関係法令(技能実習法を含む)違反があれば、期限を定めて改善を命令するものです。

※業務停止命令・改善命令に違反した場合の罰則もあります。

今回の発表資料を読みますと、日立製作所のへの処分理由としては、認定計画に従って技能実習を行わせていなかったこととしており、改善命令の内容としては、認定計画に従った適正な技能実習を実施するための体制の構築に関するものとしています。

ここで、技能実習受入れ企業として再度認識が必要なこととしては、新しい技能実習制度では、開発途上地域等の経済発展を担う人づくりに協力するという制度趣旨を徹底するため、管理監督体制を強化するとともに、技能実習生の保護等を図るとされていることです。

介護職種の追加要件について

今回は、技能実習制度における「介護職種」の追加要件について概略をご説明いたします。

介護については、平成29年11月に技能実習の対象職種に追加されましたが、高齢者へのサービス提供が仕事となることから、介護修得レベルの追加要件や監理団体による実習実施機関に対する管理の徹底等、追加の要件が課されています。

まず、技能実習生に関しての要件ですが、技能実習制度本体の要件に加えて、以下の要件を満たす必要があります。

  • 第1号技能実習(1年目) 日本語能力試験のN4に合格している者
  • 第2号技能実習(2年目) 日本語能力試験のN3に合格している者

次に、実習実施者・実習内容に関する要件ですが、技術実習制度本体の要件に加えて、以下の要件を満たす必要があります。

  • 技能実習指導員のうち1名以上は、介護福祉士の資格を有する者その他これと同等以上の専門的知識及び技術を有すると認められる者(看護師等)であること。
  • 技能実習生5名につき1名以上の技能実習指導員を選任していること。
  • 技能実習を行わせる事業所が、介護等の業務(利用者の居宅においてサービスを提供する業務を除く)を行うものであること。
  • 技能実習を行わせる事業所が、開設後3年以上経過していること。
  • 技能実習生に夜勤業務その他少人数の状況下での業務又は緊急時の対応が求められる業務を行わせる場合にあっては、利用者の安全の確保のために必要な措置を講ずることとしていること。具体的には、技能実習制度の趣旨に照らし、技能実習生以外の介護職員を同時に配置することが求められるほか、業界ガイドラインにおいても技能実習生以外の介護職員と技能実習生の複数名で業務を行う旨を規定していることや、夜勤業務等を行うのは2年目以降の技能実習生に限定する等の努力義務を業界ガイドラインに規定することなどです。
  • 技能実習を行う事業所における技能実習生の数が一定数を超えないこと。
  • 入国後講習については、基本的な仕組みは技能実習法本体によるが、日本語学習(240時間(N3程度取得者は80時間))と介護導入講習(42時間)の受講を求めることとする。また、講師に一定の要件を設ける。

最後に、監理団体に関する要件についてですが、「介護」職種の場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 次のいずれかに該当する法人であること。①商工会議所・商工会、中小企業団体、職業訓練法人、公益社団法人又は公益財団法人、②その法人の目的に介護事業の発展に寄与すること等が含まれる全国的な医療又は介護に従事する事業者から構成される団体(その支部を含む)であること。
  • その役職員に介護職として5年以上の経験を有する介護福祉士等(看護師等)がいるものであること。
  • 「介護」職種における第3号技能実習の実習監理及び受入れ人数枠拡大の可否(いわゆる「介護」職種における優良要件)は、「介護」職種における実績等をもとに判断すること。

以上のように、「介護」職種の作業の特有性を踏まえて、他の職種の要件に更に要件を加えて、介護サービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにしているわけです。

外国の送出し機関について

今回は、技能実習制度における監理団体の許可基準のひとつである、「基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次ぎに係る契約を締結していること」の、「外国の送出機関」について、ご説明いたします。

技能実習法第23条第2項では、外国の送出機関とは、団体監理型技能実習生になろうとする者からの団体監理型技能実習に係る求職の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐことができる者として主務省令で定める要件に適合するものとされています。

そこで、外国の送出機関の要件にはどんなものがあるかというと、下記のようになっています。

  1. 所在する国の公的機関から技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐことができるものとして推薦をうけていること
  2. 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者のみを適切に選定して、日本への送り出しを行なうこと
  3. 技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表するとともに、その費用について技能実習生等に対して明示し、十分に理解をさせること
  4. 技能実習を修了して帰国した者が、修得した技能を適切に活用できるよう、就職先のあっせんその他の必要な支援を行うこと
  5. フォローアップ調査への協力等、法務大臣、厚生労働大臣、外国人技能実習機構からの要請に応じること
  6. 送出し機関又はその役員が、日本又は所在する国の法令に違反して、禁錮以上の刑又はこれに相当する外国の法令による刑に処せられ、刑の執行の終了等から5年を経過しない者でないこと
  7. 所在する国又は地域の法令に従って事業を行うこと
  8. 保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、技能実習生の日本への送出しに関連して、技能実習生又はその家族等の金銭又はその他の財産を管理しないこと
  9. 技能実習に係る契約不履行について、違約金を定める契約や不当に金銭その他の財産の移転をする契約を締結しないこと
  10. 技能実習生又はその家族等に対して、8,9の行為が行われていないことを技能実習生から確認すること
  11. 過去5年以内に偽造・変造された文書の使用などの行為を行っていないこと
  12. その他、技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐために必要な能力を有すること

次に、日本との間で2国間取決めを作成した国について、送出し機関の政府が、上記1から12までの確認を行い、適切な送出し機関を認定することになっています。

平成31年3月時点では、次の13か国との間で技能実習に関する2国間取決めが交わされています。ベトナム、カンボジア、インド、フィリピン、ラオス、モンゴル、バングラデシュ、スリランカ、ミャンマー、ブータン、ウズベキスタン、パキスタン、タイ。

外部役員及び外部監査の措置について

今回は、技能実習制度における監理団体の許可基準のうち、外部役員及び外部監査の措置について、ご説明いたします。

技能実習法第25条第1項第5号では、監理事業を行おうとする者は、外部役員を置いていること又は外部監査の措置を講じていることとされています。

まず、外部役員についてですが、外部役員の役割は、実習実施者に対する監査等の業務が適正に実施されているかの確認を、法人内部において担当することとなります。

外部役員の要件には次のようなものがあります。

① 過去3年以内に指定された講習を受講した者(但し経過措置として令和2年3月31日まで適用はなし)

② 下記に該当する者でないこと

  1. 実習監理を行う対象の実習実施者又はその現役若しくは過去5年以内の役職員
  2. 過去5年以内に実習監理を行った実習実施者の現役又は過去5年以内の役職員
  3. 1、2の者の配偶者又は二親等以内の親族
  4. 申請者(監理団体)の現役又は過去5年以内の役職員
  5. 申請者(監理団体)の構成員(申請者が実習監理する団体監理型技能実習の職種に係る事業を営む構成員に限る)又はその現役又は過去5年以内の役職員
  6. 傘下以外の実習実施者又はその役職員
  7. 他の監理団体の役職員
  8. 申請者(監理団体)に取次ぎを行う外国の送出し機関の現役又は過去5年以内の役職員
  9. 過去に技能実習に関して不正等を行った者など、外部役員による確認の公正が害される恐れがあると認められる者

但し、4と7について、監理団体に係る業務の適正な執行の指導監督に関する専門的な知識と経験を有する役員(専門的な知識の経験に基づき現に監理事業に従事している員外役員)及び指定外部役員に指定されている役員は外部役員として認められます。

③ 外部役員は、監理団体の各事業所について監査等の業務の遂行状況を3ヶ月に1回以上確認し、その結果を記載した書類を作成すること。

次に、外部監査の措置についてですが、外部監査人(法人でも可能です)の役割は、実習実施者に対する監査等の業務が適正に実施されているかの監査を、法人外部から実施することとなります。

外部監査人の要件と業務は次の通りです。

① 過去3年以内に指定された講習を受講した者でなければなりません。(但し経過措置として令和2年3月31日まで適用はなし)

② 外部監査人は、上記の1から9までに相当する者及び法人であって監理団体の許可の欠格事由に該当する者、個人であって監理団体の許可に係る役員関係の欠格事由に該当する者であってはなりません。

③ 外部監査人は、監理団体の各事業所について監査等の業務の遂行状況を3ヶ月に1回以上確認し、その結果を記載した書類を作成すること。

④ 外部監査人は、監理団体が行う実習実施者への監査に、監理団体の各事業所につき1年に1回以上同行して確認し、その結果を記載した書類を作成すること。

外部役員を置くにせよ、外部監査を選ぶにせよ、外部からしっかりとチェックしてもらうという心構えが大切となります。

監理団体の許可基準について

今回は、技能実習制度における監理団体の許可基準についてご説明いたします。

技能実習法第23条及び第25条では、監理事業を行おうとする者は、主務大臣の許可を受けなければならないとされており、その許可に当たっては許可基準が設けられ、その許可基準に適合しなければ許可を受けることができません。

監理団体の主な許可基準は次の通りです。

① 営利を目的としない法人であること 例えば、商工会議所や商工会、中小企業団体、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、公益社団法人、公益財団法人などです。

② 監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること まず、実習実施者に対する3か月に1回以上の定期監査では、監査は以下の方法によることが必要です。ア)技能実習の実施状況の実地確認、イ)技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること、ウ)在籍技能実習生の4分の1以上との面談、エ)実習実施者の事業所における設備の確認及び帳簿書類等の閲覧、オ)技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認。 第2に、第1号の技能実習生に対する入国後講習の実施です。これについては、適切な者に対しては委託可能であることが明確化されました。第3に、技能実習計画の作成指導について、指導に当たり技能実習を実施する事業所及び技能実習生の宿泊施設を確認し、適切かつ効果的に実習生に技能等を修得させる観点からの指導は、技能等に一定の経験等を有する者が担当することとなります。第4に、技能実習生からの相談対応については、技能実習生からの相談に適切に応じ、助言・指導その他の必要な措置を実施することとされています。

③ 監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること

④ 個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じていること

⑤ 外部役員または外部監査の措置を実施していること

⑥ 基準を満たす外国の送出し機関と、技能実習生の取次に係る契約を締結していること

⑦ 第3号技能実習の実習監理を行う場合、優良要件に適合すること

⑧ 上記の①から⑦のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること 具体的には、下記を満たさない場合は、監理事業を適正に遂行する能力があるとは判断されません。

  • 監理費は、適正な種類及び額の監理費をあらかじめ用途及び金額を明示した上で徴収(法第28条)
  • 自己の名義をもって、他人に監理事業を行わせてはならないこと(法第38条)
  • 適切な監理責任者が事業所ごとに選任されていること(法第40条)尚、監理責任者は事業所に所属し、監理責任者の業務を適正に遂行する能力を有する常勤の者でなければなりません。

尚、太字の部分が旧制度からの変更点となります。

技能実習計画の認定基準について

今回は、技能実習計画の認定基準について、重要な点や旧制度からの変更点に絞ってご説明いたします。

まず、技能実習法第9条では、技能実習を行わせようとする者は、技能実習生ごとに地濃実習計画を作成し、認定を受けることができるとされており、その技能実習計画の適切性を確保するために、認定の基準が設けられています。

次に、技能実習計画の主な認定基準として、以下のようなものがあります。

① 習得等をさせる技能が技能実習生の本国において修得等が困難な技能等であること

② 技能実習の目標について、第3号の目標が技能検定2級又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験への合格とされました。

③ 技能実習の内容については、第3号の技能実習生の場合は、第2号終了後に一か月以上帰国していることとされました。また、技能実習生や家族等が保証金の徴収や違約金の定めをされていないことを、技能実習生自身が作成する書面によって明らかにさせるようにしています。更に、複数職種の場合は、いずれも2号移行対象職種であること、相互に関連性があること、合わせて行う合理性があることとされています。

④ 実習を実施する期間は、第1号は1年以内、第2号・第3号は2年以内であること

⑤ 前段階における技能実習(第2号は第1号、第3号は第2号)の際に定めた目標が達成されていること

⑥ 技能等の適正な評価の実施が、技能検定、技能実習評価試験等によって行うこととされました。

⑦ 適切な体制・事業所の設備、責任者の選任については、各事業所ごとに選任される技能実習責任者(技能実習の実施に関する責任者)は、技能実習に関与する職員を監督することができる立場にあり、かつ、過去3年以内に技能実習責任者に対する講習を修了した常勤の役職員とされました(但し、講習については、経過措置として、令和2年3月31日まで適用無し)。

⑧ 許可を受けている監理団体による実習監理を受けること(団体監理型技能実習の場合)

⑨ 日本人との同等報酬等、技能実習生に対する適切な待遇の確保については、報酬の額が日本人と同等以上であることとされ、これを説明する書類を添付させ、申請者に説明を求めることとされました。また、入国後講習に専念するための措置等が図られていることとされ、食費、居住費等名目のいかんを問わず実習生が定期に負担する費用について、実習生との間で適正な額で合意がなされていることとして、費用の項目・額を技能実習計画に記載、技能実習生が理解したことや額が適正であることを示す書類を添付させることにしています。

⑩ 優良要件への適合(第3号技能実習の場合)が設けられました。

⑪ 技能実習生の受入れ人数の上限を超えないこととされ、新制度で人数枠を見直しています。

尚、③⑦⑨⑪については、事業所管大臣が告示で要件を定めた場合は、実習実施者又は監理団体は、その要件の基準を満たす必要があります。

監理団体の許可と技能実習計画の認定手順について

今回は、監理団体の許可と技能実習計画の認定に係る手順について簡単にご説明いたします。

まずは、監理団体の許可についてです。

事業協同組合や商工会等の監理団体は、監理団体の許可申請を行います。これに対し外国人技能実習機構が、団体の体制等を予備調査します。具体的には、許可基準に適合すること、例えば監理事業を適正に行う能力を有することや外部役員の設置又は外部監査の措置を行っていることなどの審査を行います。加えて、欠格事由に該当していないか、例えば、一定の前科がないこと、5年以内に許可取消しを受けいていないこと、5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしていないことなどを審査します。

外国人技能実習機構は、審査結果を主務大臣(法務大臣・厚生労働大臣)に報告します。主務大臣はこの報告に基づいて監理団体の許可を出します。

この許可の次に、技能実習計画の認定手続きに移ります。

まず、実習実施者と監理団体は、技能実習計画の作成を行います。実習実施者は、その実習計画の認定申請を行います。やはりこの場合も、外国人技能実習機構が、計画の内容や受入れ体制の適性等を審査します。具体的には、認定基準に適合すること、例えば実習生の本国において修得が困難な技能等であること、1号または2号の技能実習計画で定めた技能検定又は技能実習評価試験に合格していること(2号又は3号の計画認定時)などを審査します。加えて、欠格事由に該当しないこと、具体的には、一定の前科がないこと、5年以内に認定取消しを受けいていないこと、5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしていないことなどを審査されます。そして、外国人技能実習機構は、技能実習計画の認定を行います。

この技能実習計画の認定が出ましたら、実習生(通常は監理団体が代理します)が、在留資格認定証明書の交付申請を行います。法務大臣(実際には地方出入国在留管理局)が在留資格認定証明書を交付します。これにより、実習生の受け入れが可能となります。

技能実習制度の仕組み

今回は、技能実習制度の仕組みについてご説明いたします。

技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受入れ、OJT(On the Job Training)を通じて技能を移転する制度で、平成5年に制度が創設されました。

技能実習生は、入国直後の講習期間以外は、雇用関係の下、労働関係法令等が適用されており、平成30年末時点で全国に32.8万人在留しています。

技能実習制度の受入れ機関別のタイプとしては2つあり、一つは「団体監理型」といわれるものです。これは、非営利の監理団体(事業協同組合、商工会等)が技能実習生を受け入れ、その傘下の企業等で技能実習を実施するものです。監理団体は、外国人技能実習機構による調査を経て、主務大臣がその団体を許可することになっています。

もうひとつは「企業単独型」といわれるもので、日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施するというものです。

次に、技能実習の流れについてですが、入国後1年目は在留資格の技能実習1号として原則2か月間の講習を受け(雇用関係はなし)、その後実習となります。1年が経過する時点で所定の技能評価試験の学科試験及び実技試験に合格したら、2年目と3年目は在留資格の技能実習2号として実習することになります。

3年目が終了すると、一旦外国人の母国に帰国することになります(1か月以上)。そして、所定の技能評価試験(技能検定3級相当)の実技試験に合格したら、在留資格の技能実習3号として4年目と5年目の実習に臨むことができるようになります。

次に、技能実習制度の職種についてですが、令和元年5月28日時点では、80職種144作業となっています。次のようなものです。

  • 農業関係で2職種6作業
  • 漁業関係で2職種9作業
  • 建設関係で22職種33作業
  • 食品製造関係で11職種16作業
  • 繊維・衣服関係で13職種22作業
  • 機械・金属関係で15職種29作業
  • 社内検定型で1職種3作業
  • その他で14職種26作業

詳しくはこちらをご覧ください。

技能実習法の概要について

今回からしばらく、外国人技能実習制度についてご説明いたします。

日本に滞在する外国人労働者146万463人(平成30年)のうち「技能実習」の在留資格で労働している人数は約32.8万人となっています。2019年4月にスタートした新しい在留資格「特定技能」では今後5年間で約34万5千人の受入れを見込んでいますが、それにより「技能実習」の在留資格がなくなるわけでなく、技能実習制度も新しく生まれ変わり、「技能実習」の外国人労働者も今後増加していくものと思われます。

技能実習制度が生まれ変わったと申し上げましたが、具体的には、平成29年11月1日に、いわゆる技能実習法が施行されました。法律の正式名称は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」です。この法律の概要を簡単に申し上げますと、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るため、技能実習に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、技能実習計画の認定及び管理団体の許可の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設けるとしています。

技能実習の旧制度の見直しについては、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に協力するという制度趣旨を徹底するため、管理監督体制を強化するとともに、技能実習生の保護等を図るとしています。

具体的には、①監理団体については許可制、実習実施者については届出制とし、技能実習計画は個々に認定制とする、②新たに外国人技能実習機構(認可法人)を創設し、監理団体等に報告を求め、実地に検査する等の業務を実施、③通報・申告窓口を整備、人権侵害行為に対する罰則等を整備、実習先変更支援を充実、④所管省庁、都道府県等に対し、各種業法等に基づく協力要請等を実施、これらの関係行政機関から成る「地域協議会」を設置し、指導監督・連携体制を構築、⑤実習生の送り出しを希望する国との間で政府間取り決めを順次作成することを通じ、相手国政府と協力して不適正な送り出し機関の排除を目指す、などとしています。

次に、技能実習制度の現状としては、平成22年の制度改正以来、技能実習生の数は増加し続けています。業種は80職種あり(平成31年3月14日時点)、「技能実習2号」への移行者が多い職種は、①食品製造関係、②機械・金属関係、③建設関係となっています。

受け入れ人数の多い国は、①ベトナム、②中国、③フィリピン、④インドネシア、⑤タイの順となっています。(平成30年末)また、受入形態別にみると、団体監理型の受入れが96.6%であり、実習実施機関の半数以上が従業員19人以下の零細企業となっています。