技能実習法の概要について

今回からしばらく、外国人技能実習制度についてご説明いたします。

日本に滞在する外国人労働者146万463人(平成30年)のうち「技能実習」の在留資格で労働している人数は約32.8万人となっています。2019年4月にスタートした新しい在留資格「特定技能」では今後5年間で約34万5千人の受入れを見込んでいますが、それにより「技能実習」の在留資格がなくなるわけでなく、技能実習制度も新しく生まれ変わり、「技能実習」の外国人労働者も今後増加していくものと思われます。

技能実習制度が生まれ変わったと申し上げましたが、具体的には、平成29年11月1日に、いわゆる技能実習法が施行されました。法律の正式名称は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」です。この法律の概要を簡単に申し上げますと、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るため、技能実習に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、技能実習計画の認定及び管理団体の許可の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設けるとしています。

技能実習の旧制度の見直しについては、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に協力するという制度趣旨を徹底するため、管理監督体制を強化するとともに、技能実習生の保護等を図るとしています。

具体的には、①監理団体については許可制、実習実施者については届出制とし、技能実習計画は個々に認定制とする、②新たに外国人技能実習機構(認可法人)を創設し、監理団体等に報告を求め、実地に検査する等の業務を実施、③通報・申告窓口を整備、人権侵害行為に対する罰則等を整備、実習先変更支援を充実、④所管省庁、都道府県等に対し、各種業法等に基づく協力要請等を実施、これらの関係行政機関から成る「地域協議会」を設置し、指導監督・連携体制を構築、⑤実習生の送り出しを希望する国との間で政府間取り決めを順次作成することを通じ、相手国政府と協力して不適正な送り出し機関の排除を目指す、などとしています。

次に、技能実習制度の現状としては、平成22年の制度改正以来、技能実習生の数は増加し続けています。業種は80職種あり(平成31年3月14日時点)、「技能実習2号」への移行者が多い職種は、①食品製造関係、②機械・金属関係、③建設関係となっています。

受け入れ人数の多い国は、①ベトナム、②中国、③フィリピン、④インドネシア、⑤タイの順となっています。(平成30年末)また、受入形態別にみると、団体監理型の受入れが96.6%であり、実習実施機関の半数以上が従業員19人以下の零細企業となっています。

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