産業廃棄物収集運搬業の許可 その1

今回からしばらくは、建設業者や解体工事業者などの企業が、産業廃棄物収集運搬業の許可を取るためのご説明をしていきます。

まずは、産業廃棄物の定義についてです。

そもそも「廃棄物」とは、自分で利用したり他人に有償で売却できないために不要となったもので、固形状又は液状のもののことで、放射性物質及びこれによって汚染されたものは除かれます。

そして、「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、燃え殻など20種類及び輸入された廃棄物をいいます。一般家庭から排出されたごみは、一般廃棄物に分類され、産業廃棄物とはなりません。

事業活動に伴って生じる20種類の産業廃棄物はこちらです。ここで、事業活動とは製造業や設業等に限定されるものではなく、商業活動や、水道事業、学校等の公共事業も含めた広義の概念です。

また、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他人の健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れがある性状を有するもので、政令で定めるものを「特別管理産業廃棄物」といいます。こちらです。

次に、産業廃棄物に関わる許可の種類についてです。

産業廃棄物に関する許可は、①産業廃棄物収集運搬業・特別管理産業廃棄物収集運搬業、②産業廃棄物中間処分業・特別管理産業廃棄物中間処分業、③産業廃棄物最終処分業・特別管理産業廃棄物最終処分業に分かれます。

そして、ここからは、産業廃棄物収集運搬業の許可についてご説明していきます。

建設業では、建設現場で建築廃材が発生します。これは産業廃棄物となります。そこで、この産業廃棄物を処分場に運搬しなければいけません。そして、産業廃棄物を処分場に運搬するには「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要です。

産業廃棄物収集運搬業を行うには、収集する区域(建設現場)及び運搬先(処分場)を管轄する都道府県知事の両方の許可が必要となります。ここは建設業許可と違う点です。

次回は、石綿(アスベスト)含有産業廃棄物の手続きについてご案内いたします。

建設業許可申請 その5

今回は、建設業許可を受けるための、その他の要件についてご説明いたします。

前回まで、建設業許可を受けるための5つの要件のうち、①経営業務の管理責任者が常勤でいること、②専任の技術者を営業所ごとに常勤で置いていること、の2つをご案内しました。この2つが特に重要だったのですが、残りの3つの要件も備えておく必要があります。

請負契約に関して誠実性を有していること

法律では、請負契約に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者ではないこと、としています。法人や役員、個人事業主、支配人、支店長、営業所長等が対象です。「不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為です。一方、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期等、請負契約に違反する行為です。

請負契約を履行するに足る財産的基礎等のあること

一般建設業の許可を新規で受ける場合、次のいずれかに該当することが必要です。

①自己資本が500万円以上あること。 ⇒ 最近は資本金500万円以上の企業は少ないので、500万円未満の場合は、②を証明することになります。

②500万円以上の資金調達能力があること。 ⇒ 取引銀行から預金残高証明書を取り寄せます。申請受理日を基準として1か月以内証明が必要であり、その額が500万円以上であることです。

欠格要件等

欠格要件に該当するものは、許可を受けられません。法人や役員、個人事業主、支配人、支店長、営業所長等が、対象となります。

具体的な欠格要件は、東京都の場合、こちらの手引き9ページをご覧ください。

この中の⑥について、「刑法の特定の規定」とは、例えば暴行、傷害、窃盗などです。

ここまで、一般の建設業許可の申請について、ご説明してきました。

次回からは、産業廃棄物収集運搬業許可についてご案内いたします。

建設業許可申請 その4

今回は、専任の技術者について、ご説明いたします。

前回からの繰り返しになりますが、許可を受けて建設業を営もうとする全ての営業所に、専任の技術者を置くことが必要です。建設業許可を取りたい社長さんが、経営業務の管理責任者になり、更に専任の技術者も兼任することは可能です。

そして、専任の技術者の要件は、次のようなものです。

まず、該当する建設業の種類に対応した資格を有していればそれが一番です。具体的な資格区分については、役所の手引きを参照してください。東京都の手引きはこちらです。P62~63とP70に「技術者の資格」として載っています。

資格を有していない場合は、10年以上の実務経験を有するという条件に合うか確認します。ただし、高校卒(指定学科あり)であれば実務経験は5年以上に、大学卒(指定学科あり)であれば実務経験は3年以上というように、要件は緩和されます。指定学科については、前述の東京都の手引きでは、P60~61に掲載されています。

次に、実務経験の証明についてですが、働いている(いた)会社に証明してもらう必要があります。その会社に実際に勤務していたことを証明する書類は、厚生年金被保険者記録照会回答票や住民税特別徴収税額通知書の写し、確定申告書等です。

また、その会社が建設工事をしていたことの証明について、建設業許可を持っている会社の場合は、建設儀業許可申請書及び変更届け出書の写しを使用することになります。建設業許可を持っていない会社の場合は、工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書の写しなどを提示することになります。

但し、働いていたという実務経験の立証作業は、働いていた会社の協力が必要であり、かなり大変です。そのような場合の対応策としては、①ご自身がご自身の会社で更に実務経験を積み、要件を満たす、②外部から専任の技術者を連れてくる、などが考えられます。②については、身内の人間ではないということで、その人とトラブルが発生した場合のことを考えると、リスクが高くなると思います。

次回は、建設業許可を受けるためのその他の要件についてご案内いたします。

建設業許可申請 その3

今回は、建設業許可のための要件の一つである「経営業務の管理責任者が常勤でいること」をどのようにして証明していくかについて、ご説明いたします。

前回ご説明したように、経営業務の管理責任者の1つの要件に、「許可を受けようとする建設業(業種)に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者」がありました。

まずは、5年間経営業務の管理責任者だったという事の証明についてです。

例えば、会社の取締役であった場合は、登記簿謄本を取得して、取締役として登記されている(いた)ことを証明することができます。ただし、会社の目的として、許可を受けようとする建設業(業種)が登記されている(いた)必要があります。また、個人事業主であった場合は、登記簿謄本でなく確定申告書(5年分)を、証明するものとして使います。

そして、取締役として登記されていた企業が、本当に建設業を行っていたのかについても、証明する必要があります。ペーパーカンパニーではないことを証明するわけです。

基本的には、役員の期間であった5年分の資料を提示する必要があります。重いかもしれませんが、すべての資料を役所に持っていくつもりでいましょう。

①発注元からの注文書+自社からの工事請書 ⇒ 注文書は特に重要です。発注元企業の住所・名称・電話番号・印鑑を確認します。もしもなくしていたら、再発行してもらいましょう。

②請求書+請求した金額が入金されたことを証明できる銀行通帳 ⇒ 注文書がない場合は、このパターンです。ただし、請求書に建設工事の内容が記載されている必要があります。それがないときは、追加資料を求められることがあります。

③工事請負契約書(元請の場合) ⇒ 注文者と建設会社が相互に署名・捺印していますので、証明書類としては信頼性が高いです。1年間に4件、5年分で20件程度の書類が求められます。役所として、コンスタントに工事をしているか、事業の継続性を見たいはずです。できれば、複数の企業との契約書を用意するのがベターです。

次に、その経営業務の管理責任者が常勤していることの証明についてですが、住民票を使い、通勤圏内であることを裏付けます。通勤圏内とは、大体片道2時間以内です。その他としては、健康保険被保険者証です。これは会社に常勤している証明になります。

次回は、経営業務の管理責任者と同様に大切な「専任の技術者」がいることの証明についてご案内いたします。

建設業許可申請 その2

今回は、建設業の許可を受けるための要件についてご説明いたします。

許可を受けるためには、次の5つの要件を満たしていることが必要です。要件を一つでも満たしていないと、許可を受けることができません。

(1)経営業務の管理責任者が常勤でいること。

(2)専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること。

(3)請負契約に関して誠実性を有していること。

(4)請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること。

(5)欠格要件等に該当しないこと。

まず、(1)経営業務の管理責任者が常勤でいること、(2)専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること、の2つの要件を確認してみましょう。

(1)経営業務の管理責任者が常勤でいること ⇒ 法人の場合は常勤の役員のうち1人が、個人事業の場合は本人又は支配人のうち1人が、次の①から③のどれかに該当することが必要です。

①許可を受けようとする建設業に関し、過去5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること ⇒この場合の経験とは、営業取引の上で対外的に責任を有する地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理した経験のことを言います。要するに、建設業の経営者としての経験です。

②許可を受けようとする建設業以外の建設業(業種)に関し、6年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有していること 

③許可を受けようとする建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって経営業務を補佐していた経験を有していること ⇒ 判断がつかない場合は、事前に役所に確認してみましょう。

(2)専任の技術者を営業所ごとに常勤で置いていること ⇒ 全ての営業所には、次のいずれかに該当する専任の技術者を置くことが必要です。

一般建設業許可の場合、次のいずれかの要件に該当するものであること

①高校(指定学科あり)卒業後、5年以上の実務経験を有する者

②大学(指定学科あり)卒業後、3年以上の実務経験を有する者

③10年以上の実務経験を有する者(学歴・資格を問わない)

「専任の技術者」とは、その営業所に常勤して専ら職務に従事することを要する者をいいます。従いまして、名義だけの者や通勤不可能と思われる者は認められません。

「専任の技術者」と「経営業務の管理責任者」の双方の基準を満たしている者は、同一営業所内において、両者を一人で兼ねることができます。

「実務経験」とは、建設工事(業種)に関する技術上の経験を言います。具体的には、建設工事の施行を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わった経験をいいます。なお、「実務経験」は請負人の立場における経験のみならず、建設工事の注文者側において設計に従事した経験あるいは現場監督技術者としての経験も含まれます。ただし、工事現場の単なる雑務や事務の仕事は実務経験に含まれません。

このように、経営業務の管理責任者と専任の技術者については、慎重に選定する必要がありますので、役所のホームページや申請の手引きで最新の情報を入手し、必要に応じて、事前に役所に相談することをお勧めいたします。

次回は、「経営業務の管理責任者が常勤でいること」について、どのようにして証明していくかについてご案内いたします。

建設業許可申請 その1

今回からしばらくは、中小規模の企業における建設業許可申請についてご説明いたします。

日本の建設業の企業数(会社数+個人事業所数)は、平成28年3月末の時点で47万社弱という状況です。その内の99.9%が中小企業です。中小企業の定義は、資本金が3億円以下または常時雇用する従業員が300人以下の企業です。

建設業許可といいましても、建設業者すべてが建設業許可を必要とするわけではなく、以下の場合は許可がなくても建設業者として工事をすることが可能です。

許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)
A 建 築 一 式 工 事 以 外 の 建 設 工 事 の場合
1件の請負代金が500万円(注)未満の工事(消費税込み)
 建築一式工事で下のいずれかに該当する もの
(1) 1件の請負代金が1,500万円(注)未満の工事(消費税込み)
(2) 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
(主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)
(注)①一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額となります。
②注文者が材料を提供する場合は、市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負契約の請負代金の額に加えたものが上記の請負代金の額となります。

しかし、建設業の許可が必要でない場合でも、法令等で、資格や役所への登録が必要なこともありますので、念のため役所に確認しておきましょう。

次に、建設業の許可には、国土交通大臣許可と知事許可の2種類があります。1つの都道府県にのみ営業所がある場合は、知事許可を取ることになります。中小企業の場合、知事許可を取得するケースが多いと思います。「営業所」とは、本店、支店、又は建設工事の請負契約を締結する事務所のことをいい、次の要件を備えていることとされています。

(1)来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の実体的な業務を行っていること。

(2)電話、机、各種事務台帳等を備えていること。

(3)契約の締結等ができるスペースを有し、かつ、居住部分、他の法人や個人事業主とは明確に区分されているなど独立性が保たれていること。

(4)自己所有の建物か、賃貸借契約を結んでいること。

(5)看板や標識等で、建設業の営業所であることが分かるようにしてあること。

(6)経営業務の管理責任者又は建設工事の請負契約締結等の権限を付与された者が常勤していること。

(7)専任技術者が常勤していること。

従いまして、単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所等は、「営業所」に該当しません。

東京都で許可を受けた場合、営業活動や契約は東京都内の営業所でのみ行いますが、工事については他府県でも可能です。神奈川県の顧客から依頼された場合でも、東京都内の営業所で経営業務の管理責任者と専任技術者がチェックすれば、契約は可能です。

次に、建設工事と建設業の種類についてですが、全部で29種類あります。役所のホームページや手引きを読んでみてください。皆様がどの種類の許可が必要なのか、しっかりと確認してください。判断に困ったら、役所に相談しておきましょう。

次に、建設業の許可区分についてですが、一般建設業と特定建設業に区分されています。このうち特定建設業とは、①元請として契約を締結し、②工事の施工金額が4,000万円以上(建設一式は6,000万円以上)するケースです。4,000万円以上の工事を行う場合でも、下請としてであれば特定建設業の許可は不要です。

次回は、知事許可、一般建設業の許可を受けるための要件についてご案内いたします。

永住許可申請

今回は、永住許可申請、特に外国人である申請人が「日本人の配偶者等」の在留資格の場合についてご説明いたします。

まず、日本人の配偶者等の在留資格と永住許可がどう違うのかについてですが、前者の場合、在留期間が最長でも5年であり、5年に1度更新することになります。一方永住許可ですと、在留期間(満了日)はなくなりますが、在留カード有効期間というものがあり、それは7年間です。

次に、永住許可を申請する際の提出書類は、持っている在留資格の種類によって違うのですが、ここでは日本人の配偶者等の在留資格の場合について、ご案内いたします。

提出する書類はこちらです。

この中の6番、所得及び納税状況を証明する書類は、外国人の扶養者となる日本人が、市町村の役場に出向いて、ご自身の課税証明書や納税証明書を発行してもらいます。その他の項目については特に間違えることもなく、準備できると思います。

次に、永住許可がどのような場合に認められるかについて、「永住許可に関するガイドライン」が出されています。これです。まずは、外国人である申請者が、この中で述べられている要件を満たしているか確認することが大切です。

その中の「法律上の要件」(3)アについては、引き続き10年以上日本に在留していること、とされていますので、10年経たないうちに日本を離れて自国で生活した後に数年後に再度日本に戻ったとした場合には、この要件に合致しません。また、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留すること、の「居住資格」とは、結婚に伴っての居住資格のことです。(3)イについては、例えば交通違反による「罰金刑」も含まれますので、注意が必要です。

「2 原則10年在留に関する特例」については、あくまでも「特例」ですので、必ず許可されるわけではなく、ケースバイケースだということを認識しておく必要があります。(1)について、例えば結婚した後外国で3年間暮らした後、日本で1年以上在留したら、特例により永住許可が認められることがある、ということです。更に二人の間に子供がいれば、許可される可能性は高まるようです。

次に、提出後どのくらいで返事が来るかといいますと、法務省のホームページでは標準処理期間が4か月となっています。しかし、最近は入国管理局が大変込み合っている影響か、東京入国管理局の場合、許可されるまで7か月程度かかっているケースがあります。その場合でも、申請の時に窓口でおおよそどのくらいかかりますと、言ってもらえるようです。もちろん許可されるでしょうとかいう事は、言われません。

入国管理局の窓口で申請が受理されると、旅券(パスポート)が返され、受け付けましたという内容の紙(申請受付票)が渡されます。申請受付票には受付番号や問合せ電話番号が書かれています。申請後数か月たって、今どんな状況だろうと思って電話で問い合わせてみても、審査中ですとの返事が返ってくるだけで、具体的にどういう状況事は答えてもらえません。申請後はじっと待ち続けます。途中、海外に出ても構いません。

審査が終了すると、ある日、住所地に「通知書」と書かれたハガキが届きます。そこには結果を知らせるのでいつまでに来てくださいと書かれています。ハガキが届いて約1か月後の日付が押されています。この通知書を受け取ったら速やかに入国管理局に行きましょう。持参するものとして、旅券、在留カード、収入印紙(8,000円)、申請受付票、この通知書が書かれています。収入印紙については、通知書の8,000円の収入印紙欄にチェックが入っていますので、この時に、許可されたのかなと予想することができます。

入国管理局の窓口で新しい在留カードを受け取ります。在留資格は「永住者」、許可の種類は「永住許可(法務大臣)」と印刷されています。これで一安心です。

次回からは、建設業許可申請についてご案内いたします。

在留資格認定証明書申請(日本人の配偶者)

今回は、日本人の配偶者における、在留資格認定証明書交付申請についてご説明いたします。

日本人が外国人と結婚して、その外国人を日本へ呼び寄せて、日本で生活する場合、「日本人の配偶者」としての在留資格認定証明書申請が必要となります。

申請に必要な提出書類はこちらです。通常は日本にいる配偶者が準備するものとなります。

提出書類の中でも8番の「質問書」は、審査するにあたりとても大切な資料です。特に「結婚に至った経緯」は、しっかりと、又できる限り詳しく書きましょう。最近は、SNSで出会ったという方もいると思います。どんな形で出会ったにせよ、交際過程をしっかりと書くことが肝心です。

9番の「スナップ写真」は、申請後返却されませんので、あらかじめ写真を焼増ししておくと良いです。

そして、1番の「在留資格認定証明書交付申請書」について、書くべき個所は全て書きましょう。例えば、15番の同伴者の有無や、17番の過去の出入国歴など、必ずどちらかに○を入れる必要があります。27番の氏名は外国人と結婚した日本人の氏名を書きます。その下の署名欄にはその方が自署(肉筆)します。その右の申請書作成年月日欄には、署名した日にちを入れます。

ところで、世界には日本で働きたいという外国人がたくさんいます。「日本人の配偶者」として在留許可を得た外国人は日本での就労制限がなくなります。どのような職についてもよいということです。そこで、日本で稼ぐために偽装結婚しても良いという外国人もおり、又、それに手を貸そうとする日本人も存在します。当然ですが、偽装結婚自体が法律上無効です。たとえ偽装結婚して在留資格認定証明書を申請しても、当然認められることはありません。

次回は、永住許可申請についてご案内いたします。

在留資格認定証明書申請(人文知識・国際業務)

今回は、人文知識・国際業務における在留資格認定証明書交付申請時の提出書類についてご説明いたします。

提出書類は、どういった企業・機関であるかによって分けられた4つのカテゴリーごとに決められています。

カテゴリーと提出書類は法務省のホームページに載っています。これです。

企業・機関の事業内容だけでなく、雇用する予定の外国人の資料も提出することになりますので、しっかりと把握し、それを証明する書類を入手することが大切です。

全カテゴリーに共通する提出書類は、1から5までです。中小企業は、ほとんどがカテゴリー3又はカテゴリー4に当てはまりますので、6以降の書類も必要になります。

法務省のホームページに載せられている提出書類は最低限のものです。実態を証明あるいは詳しく説明する資料も、追加資料として任意で提出することが可能です。例えば理由書というものです。提出書類だけでは説明できない、外国人と企業・機関の活動内容の関連性を説明したり、企業・機関の安定性や継続性をまとめたものです。

在留資格認定証明書交付申請の提出先は、企業・機関の所在地を管轄している入国管理局となります。

次回は、日本人の配偶者における在留資格認定証明書交付申請についてご案内いたします。

在留資格認定証明

前回、就労させたい外国人が日本に入国して上陸許可を得るためには、在留資格認定証明書を取得することが大切だとご説明いたしました。

今回は、この在留資格認定証明書について、もう少し詳しく述べていきたいと思います。

日本にいる代理人が在留資格認定証明書の申請をするのですが、認定されるには在留資格に関する適合性該当性が必要とされています。

在留資格の該当性とは、外国人が日本で行える活動や身分を分類した在留資格に当てはまるかどうかのことです。例えば、トラック運転手として雇用したいとしても、運転手として就労を認める在留資格はありません。従って、該当性なしとされてしまい、在留資格認定証明書の発行は認められません。就労できる在留資格は主に次のようなものです。単純労働は認められていません。

①経営・管理 ⇒ 外国系企業の経営者や管理者

②法律・会計業務 ⇒ 弁護士や会計士

③技術・人文知識・国際業務 ⇒ 技術者、通訳、デザイナー、民間企業の語学講師等

④興業 ⇒ 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等

⑤技能 ⇒ 外国料理の調理師等

次に適合性ですが、その外国人が、該当する在留資格に適しているかどうかということです。その基準を適合基準と呼び、法務省令で具体的に示されています。

ここでは、中小企業の外国人雇用の中で一番多い、人文知識・国際業務のケースについて、説明していきます。

尚、出入国管理及び難民認定法(入管法)によりますと、人文知識・国際業務に該当する活動は、日本の公私の機関との契約に基づいて行う法律学・経済学・社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動とされています。

その人文知識・国際業務の適合基準は、外国人が次のいずれにも該当していることとなっています。

①人文科学の分野に属する知識を必要とする業務の場合、それに関係する科目を専攻して大学を卒業していること。又は、従事しようとする業務について10年以上の実務経験があること。

②外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務の場合、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務(貿易)、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務であり、加えてその業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳、語学の指導に従事するときは経験不要。

③報酬について、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上とすること。

多くの企業が②の通訳あるいは海外取引業務(貿易)として、外国人の雇用を考えると思われますが、学歴要件や実務経験の要件を満たしているか、確認が必要です。また、③の報酬については、日本人よりも安い報酬はダメということですので、外国人を安く雇用しようという考えは通用しません。

更に、外国人を雇用する会社がそれにふさわしい企業であるかも問われます。例えば、通訳や貿易業務に従事してもらうという内容で申請したにもかかわらず、実際は貿易業務を行っていなかったり行う予定がない場合、申請は認められません。

外国人を雇うに際しては、会社として、外国人材にどのような業務をしてもらいたいのかを決めること、その業務が在留資格に当てはまるのかを確認すること、その外国人が在留資格を得るための要件を満たした人物かを確認することが、ポイントとなります。

今まで述べてきたように、在留資格認定証明書交付の条件として、①申請活動が虚偽でないこと、②在留資格に該当すること(該当性)、③法務省令の基準に適合すること(適合性)などがありますが、④上陸拒否理由に該当しないこと、も挙げられます。これは、欠格要件といわれるもので、例えば、感染症にかかっているもの、日本又は他国で1年以上の懲役・禁固刑に処せられたもの、過去に上陸拒否、強制退去・出国命令を受けたものなどです。

次回は、人文知識・国際業務に係る在留資格認定証明書の申請について、ご案内いたします。