ADR(裁判外紛争解決手続)について

近所のペットの鳴き声で困っているとか、自転車と自転車が衝突してしまったとか、身近なトラブルを解決したいが、裁判にはしたくないという場合に、ADR(裁判外紛争解決手続)の利用も一つの方法です。

ADR(裁判外紛争解決手続)とは、民事上のトラブルについて、裁判によらずに、当事者と利害関係のない公正中立な第三者が当事者間に入り、当事者双方の言い分をよく聴きながら専門家としての知見を活かして、当事者同士の話し合いを支援し、合意による紛争解決を図る手続きです。

ADRの手続の一般的な流れは、次のようになります。

  • ADRを利用したい人(申込人)がADR事業者に申込みを行う。 ※申込みの内容が、話し合いによる解決の手続を行うのに適さない場合などは、受理されないこともある。
  • ADR事業者は、申込みを受理すると、ADR手続の開始について、相手方に連絡する。
  • 相手方がADR手続の開始に合意すると、ADR事業者により選任された手続実施者(調停人と呼ばれる人)が間に入って、申込人と相手方が話し合いを行う。 ※相手方がADR手続の開始に応じないと、ADR手続は行われない。
  • 申込人と相手方双方が合意すれば、ADR手続は終了する。 ※合意が成立しない場合、ADR手続は不成立となる。

一般的にADRには、「民事調停」や「家事調停」、「裁判上の和解」など裁判所が行うもの(司法型ADR)、公害等調整委員会や国民生活センターの紛争解決委員会などの行政機関・行政関連機関が行うもの(行政型ADR)のほかに、民間のADR事業者が行うもの(民間型ADR)があります。

民間ADR事業者には、地域の弁護士会や行政書士会といった士業団体のほか、家電製品や自動車、ソフトウェアなどの業界団体や消費者団体、NPO法人などがあり、各分野の専門的知見を利用できることが特徴です。

法務省は、民間事業者によるADRを安心して利用してもらうために、民間ADR事業者の申請に基づき、ADR法(裁判外紛争解決の利用の促進に関する法律)で定められた基準をクリアしているかどうかを審査し、その基準をクリアしている事業者を法務大臣が認証する制度(法務大臣による裁判外紛争手続の認証制度)を取り扱っています。認証のための主な基準は、次のとおりです。

認証基準(主なもの)

(1) トラブルの内容に応じた専門家を紛争解決の手続を進める人(調停人)として選任できるよう、専門的人材を確保していること。

(2) 当事者と利害関係のある人が調停人とならないような仕組みが備わっていること。

(3) 調停人が弁護士でない場合は、法的な問題に対応するため、弁護士の助言を受けることができるようにしておくこと。

(4) 紛争解決の手続について、標準的な手続の進行、資料の保管や返還の方法、費用の算定方法、苦情の取扱い等を定めていること。

(5) 当事者のプライバシーや秘密などを守るための体制が整っていること。

ADR法に定められた基準をクリアし、法務大臣の認証を受けた民間ADR事業者は、「かいけつサポート」の愛称とロゴマークを使用することが認められています。民間ADR事業者を選ぶ際は、「かいけつサポート」のロゴマークの有無を参考にするとよいでしょう。

解決サポートロゴマーク

現在、「かいけつサポート」の認証を受けた民間ADR事業者は、全国各地に160以上あります。

各事業者によって取り扱う紛争の分野・範囲は異なりますが、私が所属する東京都行政書士会(行政書士ADRセンター東京)としては、次の分野・範囲の紛争を取り扱っています。

  • 外国人の職場環境・教育環境に関するトラブル
  • 自転車事故に関するトラブル
  • ペットに関するトラブル
  • 賃貸住宅の敷金返還・原状回復に関するトラブル

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