技能実習生と労働基準関係法令 その3

今回も前回同様、外国人技能実習生を受け入れる企業として知っておくべき労働基準関係法令をいくつかご説明いたします。

1.労働時間(労働基準法第32条、第34条、第35条。但し農業、畜産、水産業についてはこの規定が適用されません。) 原則として、週40時間、1日8時間を超えて労働させることは禁止されています。労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩が与えられなければなりません。そして、少なくとも毎週1日か、4週間を通じて4日以上の休日が与えられなければなりません。但し、使用者が「時間外労働・休日労働に関する協定届」を所轄労働基準監督署へ届け出た場合、その範囲内で時間外労働又は休日労働を行うことができます。「時間外労働・休日労働に関する協定届」で定める時間数を超えて、時間外労働を行わせた場合は、違反となります。

2.年次有給休暇(労働基準法第39条) 6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、年次有給休暇が与えられます。従って、年次有給休暇を使って休むと事業主に申請して休んだにもかかわらず、賃金支払い日にその分の賃金が支払われなかった場合は、違反となります。

3.制裁規定の制限(労働基準法第91条) 労働者に対する減給の制裁は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払い期における賃金の総額の10分の1を超えることはできません。従って、1時間仕事に遅刻したら、罰金として1日分の賃金額が減額された場合は、違反となります。

4.危険等の防止(労働安全衛生法第20条等) 事業者は、労働者の危険又は健康障害等を防止するために、労働安全衛生法で定められた措置を講じなければなりません。例えば、2m以上の高所で作業を行う際、手すりが設けられておらず、安全帯も使用していない場合、プレス機械に安全装置が取り付けられていなかった場合、屋内でアーク溶接を行う際、排気装置が設けられておらず、防塵マスクも使用していなかった場合等は、違反となります。

5.安全衛生教育(労働安全衛生法第59条) 事業者は、労働者を雇い入れ又は労働者の作業内容を変更した場合には、従事する業務に関する必要な安全衛生教育を実施しなければなりません。また、危険有害業務で、法令に定めるものに労働者を従事させる場合には、特別教育を実施しなければなりません。例えば、特別教育を受けていないのに、クレーンの運転(つり上げ荷重5トン未満の者)、移動式クレーンの運転(つり上げ荷重1トン未満のもの)、玉掛け作業(つり上げ荷重1トン未満のクレーン、移動式クレーンに係るもの)、動力プレスの金型等の取付け・取外し、アーク溶接等の作業を行わせた場合は、違反となります。

6.就業制限(労働安全衛生法第61条) 事業者は、特定の危険業務には、免許など資格を有する労働者以外を従事させてはなりません。例えば、必要な資格を有していないのに、クレーンの運転(つり上げ荷重5トン以上のもの)、移動式クレーンの運転(つり上げ荷重1トン以上のもの)、玉掛け作業(つり上げ荷重1トン以上のクレーン、移動式クレーンに係るもの)、フォークリフトの運転(最大荷重1トン以上のもの)、ガス溶接、建設機械(機体重量が3トン以上のもの)の運転等の作業を行わせた場合は、違反となります。

今まで述べてきたように、外国人技能実習生だからといって、日本人従業員に比べ劣悪な労働条件で契約できるわけではありません。労働者として日本人と同様に労働条件が守られるのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です