今回も引き続き、旅館業の維持管理についてご説明いたします。
まず、浴室に関しては以下のようなものです。
湯栓及び水栓には、清浄な湯水を十分に供給すること
浴槽は、1日1回以上換水し、清掃すること →但し、1週間に1回以上の換水が認められる場合がありますので、詳細は保健所に相談してみましょう。
共同浴室にあっては、使用中は、浴槽を湯水で常に満たしておくこと
浴槽水を循環させる場合の管理
ここでいう「循環」には、ろ過器を使用しなくても、加温装置を経由させて循環している場合や、湯水を循環させて水流を発生させる装置がある場合も含まれます。
- ろ過器は、逆洗浄等及び内部の消毒を1週間に1回以上行う。
- 循環配管については、配管内部の消毒は、1週間に1回以上行う。
- 集毛器(ヘアキャッチャー)は、毎日清掃する。
- 浴槽水の消毒は、塩素系薬剤で消毒し、遊離残留塩素濃度を0.4mg/L以上に保つ。
- 水質検査は、浴槽水のレジオネラ属菌検査(基準:不検出であること)を1年に1回以上行いレジオネラ属菌が検出されないことを確認する。→循環系統が複数ある場合は、系統ごとに検査する必要があります。レジオネラ属菌とは、水が停滞あるいは循環する人工的な環境で大量に繁殖することがある細菌です。レジオネラ症は、感染症法の四類感染症に分類され、発熱や肺炎の症状が見られ、高齢者等は重症になると死亡することもあります。
- 記録については、清掃、消毒、検査等の実施状況を記録し、3年間保存すること。
最後に、施設全般に関しては、以下のようなものです。
善良の風俗が害されるような文書、図画その他の物件を旅館業の施設に掲示し、又は備え付けないこと
善良の風俗が害されるような広告物を掲示しないこと
施設の換気
- 喚起のために設けられた開口部は、常に開放しておくこと
- 機械換気設備を有する場合は、十分な運転を行うこと
採光及び照明は、施設内のそれぞれの場所で宿泊者の安全衛生上又は業務上の必要な照度を有するようにすること
防湿措置を講じること
- 排水設備は、水流を常に良好にし、雨水及び汚水の排水に支障のないようにしておくこと
客室、応接室、食堂、調理場、配ぜん室、玄関、浴室、脱衣所、洗面所、トイレ、廊下、階段等は、常に清潔にしておくこと
まとめとして、旅館業許可を取得した後は、保健所職員が定期的に立ち入り、衛生的に管理されているか、変更事項の有無などについてチェックが行われます。良好な衛生管理はお客様に気持ちよく施設を利用していただくためのサービスの一つでもあります。
旅館業の許可を取得した後も、最低限法令に従って営業することが求められるわけです。