NPO法人について

今回から数回にわたり、NPO法人の設立についてご説明いたします。

皆様の中には、福祉・環境・教育・文化・まちづくり・国際協力等の様々な分野でボランティア活動を通して、社会貢献をしたい(している)という方々もいると思います。そのような方々にとって、その活動の母体となる法人を作るという場合、選択肢の一つにNPO法人があります。

まず、NPOとは、Non Profit Organizationの略語で、日本語に直訳すると非営利組織となります。非営利といっても、利益を上げてはいけないという意味ではなく、利益が上がっても構成員に分配しないで、組織の費用にあてるということです。これの対語になるのが、営利法人である株式会社などです。株式会社は利益を構成員(株主)に分配する点で非営利組織と異なります。もちろん、非営利組織といっても、実際の労働に対して給与や役員報酬を支払うことは問題ありません。

広く解釈しますとNPO法人とは、営利を目的とせず、利益を構成員に分配しない、民間の組織ということになります。

NPOと似た言葉に、NGO(Non Governmental Organization)がありますが、これは非政府組織のことで、国連憲章に基づく資格をもって、国際的に活動する民間組織を指します。

NPO法人の数は、2019年2月末の時点で、全国で51,613の法人が認証されています。

次に、法人格を持たず個人個人が活動する場合や任意団体と比べて、NPO法人にした場合のメリットについてご説明します。

NPOは行政庁の認証を得て成立する法人ですので、社会的信用が高まります。例えば契約関係では、法人名で契約を締結することができますので、任意団体の代表者が交代するたびに契約を結び直す必要はなくなります。また、法人名で銀行口座開設ができますし、法人名で不動産の所有や登記もできますので、構成員個人の財産と区別することができます。また、法律に定められた報告義務によって組織基盤が固まりますので、社会的信用が得やすくなります。結果として、地方公共団体からの委託事業も受けられたり、助成金や補助金なども受けやすくなります。

また、NPO法人の設立登記の時に、登録免許税が掛からず、設立時の費用負担が少なく済みます。ちなみに株式会社の場合は登録免許税が15万円ほどかかります。

次に、NPO法人となる場合のデメリットについてです。

これは、NPO法人として社会的信用が高くなるので、それに伴って責任も増すということです。非営利組織として、運営については株式会社等の営利法人以上に規制が多く、税務や労務については営利法人と同等の対応が必要となります。

具体的には次のようなものです。公益性の観点から様々な義務が課せられます。

  • 法人の会計・事業運営などはNPO法・定款の定めに従い、定款を変更するときは所轄庁の認証を受ける。
  • 毎事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告、役員変更等を所轄庁に提出する。
  • 各報告書は、3年間事務所に備え置き、閲覧に供すること及び所轄庁でも同書類を同じく3年間閲覧させる。
  • 法人住民税、法人事業税、消費税など税法上の収益事業がある場合、納税する。
  • 職員を持った場合、最低賃金法の定めに従い賃金を保障し、労災・雇用保険と健康保険・厚生年金保険に加入する。

任意団体の時と比べて、書類作成の事務量が増えることにもなります。

また、申請時に提出する書類が多く、設立まで少なくても3~4か月かかることもデメリットとなります。

現在任意団体として活動している方々は、上記のようなメリット・デメリットも考慮して、NPO法人を設立するかどうか、検討してみることが必要だと思います。

次回は、NPO法人の設立手続きについてご案内いたします。


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