死後事務委任契約について

今回は第三ステージ、つまりAさんが亡くなった時のための死後事務委任契約についてご説明いたします。

まず、死後事務委任契約とは何かというと、身寄りのいないAさん(委任者)が行政書士等の受任者に対して、Aさんが亡くなった後の葬儀や埋葬等に関する仕事を委託するものです。

普通、委任契約というものは、原則として、委任者又は受任者の死亡によって終了してしまいます。また、双方とも、いつでも委任契約を解除(キャンセル)することができます。

しかしこの死後事務委任契約は、Aさんの死亡によっても、委任契約を終了させない旨の合意をした契約となります。つまり、死亡によっても契約は終了しないという意味です。

そして、死後事務委任契約の内容には、短期の死後事務と、3回忌や7回忌法要などを委託する長期の死後事務がありますが、一般的には短期の死後事務を委任することとなります。

短期の死後事務の例としては、次のようなものがあります。

・水道光熱費の支払いや役所への諸届出

・葬儀や埋葬などに係った費用の支払い(通夜・告別式の場所やお寺の指定、埋葬・納骨場所の指定もできます)

・家賃・治療費・入院費などの支払い

・家財道具や生活用品の処分

この死後事務委任契約は、法律上は必ずしも公正証書によって契約書を作成する必要はないのですが、Aさんが亡くなった後に、行政書士等に確実に委任された業務を行わせるためにも、行政書士等と共に公証役場に行き、公正証書の形で作成することが望ましいです。

ところで、死後事務を終了させた後に残った財産(残余財産)をどうするのかについて、死後事務委任契約書に書いておくことになります。

身寄りのないAさんは、お世話になったご近所の方々へ残余財産をあげたいと考えていたとしますと、あらかじめ遺言書を書いて残しておくことになります。

次回は、この遺言書作成についてご案内いたします。

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