今回は旅館業法(簡易宿所の場合)と住宅宿泊事業法(民泊新法)の制度について比較してみます。例えば、ゲストハウスを創業する場合、旅館業法(簡易宿所)の許可を取るのか、それとも民泊新法に沿って届出をするのかを、経営者はまず判断することになります。
- 制度比較
旅館業法(簡易宿所の場合) | 住宅宿泊事業法(民泊新法) | |
所管省庁 | 厚生労働省 | 国土交通省、厚生労働省、観光庁 |
許認可等 | 許可 | 届出 |
住専地域での営業 | 不可 | 可能(条例により制限されている場合あり) |
営業日数の制限 | 制限なし | 年間提供日数180日以内(条例で実施期間の制限が可能) |
宿泊者名簿の作成・保存義務 | あり | あり |
玄関帳場の設置義務(構造基準) | なし | なし |
最低床面積の確保 | 最低床面積あり(33㎡。但し、宿泊者数10人未満の場合は、3.3㎡/人 | 最低床面積あり(3.3㎡/人) |
衛生措置 | 換気、採光、照明、防湿、清潔等の措置 | 換気、除湿、清潔等の措置、定期的な清掃等 |
非常用照明等の安全確保の措置義務 | あり | あり 家主同居で宿泊室の面積が小さい場合は不要 |
消防用設備等の設置 | あり | あり 家主同居で宿泊室の面積が小さい場合は不要 |
近隣住民とのトラブル防止措置 | 不要 | 必要(宿泊者への説明義務、苦情対応の義務) |
不在時の管理業者への委託業務 | 規定なし | 規定あり |
(申請)手数料 | 16,500円(簡易宿所営業) | なし |
・ゲストハウスを創業することを前提としますと、旅館業法(簡易宿所)の場合「許可」が必要となります。一方民泊新法ですと必要書類を揃えた後「届出」で済みます。
・用途地域のことも考慮する必要があります。旅館業法(簡易宿所)だと住宅専用地域では開業ができませんが、民泊新法だと可能です。(但し、地域の条例により制限されている場合あり)
・営業日数については、旅館業法(簡易宿所)だと制限なしですが、民泊新法だと180日いないという制限がかかります。これは大きな違いです。
・玄関帳場(フロント)の設置義務については、旅館業法(簡易宿所)と民泊新法ともに、不要となります。
・最低床面積の確保について、旅館業法(簡易宿所)の場合33㎡ですが、宿泊者数が10人未満の場合は、民泊新法と同様に一人につき3.3㎡となります。
・手数料については、旅館業法(簡易宿所)の場合のみ16,500円かかります。
上記のような制度の違いも踏まえ、経営者はどちらの制度を選ぶのか決めることになります。