今回は、外国人を雇用している受入れ企業が知っておきべき労災保険の基礎のうち、遺族(補償)一時金についてご説明いたします。
遺族(補償)給付には、「遺族(補償)年金」と「遺族(補償)一時金」の2種類がありますが、このうち「遺族(補償)一時金」については、次のいずれかの場合に支給されます。
① 労働者の死亡の当時、遺族(補償)年金を受ける遺族がいない場合
② 遺族(補償)年金の受給権者が最後順位者まですべて失権した時、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の額及び遺族(補償)年金前払い一時金の額の合計額が給付基礎日額の1,000日分に満たない場合
受給権者
遺族(補償)一時金の受給権者は、次のうち最先順位にある方(2.3については、子・父母・孫・祖父母の順序)で、同じ順位の方が2人以上いる場合は、全員が受給権者となります。
- 配偶者
- 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母
- その他の子・父母・孫・祖父母
- 兄弟姉妹
給付の内容
上記①の場合 ⇒ 給付基礎日額の1,000日分が支給されます。また、遺族特別支給金として300万円が支給されるほか、遺族特別一時金として算定基礎日額の1,000日分が支給されます。
上記②の場合 ⇒ 給付基礎日額の1,000日分から、既に支給された遺族(補償)年金などの合計額を差し引いた差額が支給されます。受給権者であった遺族の全員に対して支払われた遺族特別年金の合計額が算定基礎日額の1,000日分に達していない時は、遺族特別一時金として算定基礎日額の1,000日分とその合計額との差額が支給されます。(遺族特別支給金は支給されません)
請求の手続き
所轄の労働基準監督署長に、遺族補償一時金支給請求書(様式第15号)、または遺族一時金支給請求書(様式第16号の9)を提出します。 尚、特別支給金の支給申請は、原則として遺族(補償)一時金の請求と同時に行うこととなっています。様式は、遺族(補償)一時金と同じです。
時効
遺族(補償)一時金は、遺族(補償)年金の場合と同様に被災者が亡くなった日の翌日5年を経過すると、時効により請求権が消滅しますので注意が必要です。