監理団体の許可基準について

今回は、技能実習制度における監理団体の許可基準についてご説明いたします。

技能実習法第23条及び第25条では、監理事業を行おうとする者は、主務大臣の許可を受けなければならないとされており、その許可に当たっては許可基準が設けられ、その許可基準に適合しなければ許可を受けることができません。

監理団体の主な許可基準は次の通りです。

① 営利を目的としない法人であること 例えば、商工会議所や商工会、中小企業団体、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、公益社団法人、公益財団法人などです。

② 監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること まず、実習実施者に対する3か月に1回以上の定期監査では、監査は以下の方法によることが必要です。ア)技能実習の実施状況の実地確認、イ)技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること、ウ)在籍技能実習生の4分の1以上との面談、エ)実習実施者の事業所における設備の確認及び帳簿書類等の閲覧、オ)技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認。 第2に、第1号の技能実習生に対する入国後講習の実施です。これについては、適切な者に対しては委託可能であることが明確化されました。第3に、技能実習計画の作成指導について、指導に当たり技能実習を実施する事業所及び技能実習生の宿泊施設を確認し、適切かつ効果的に実習生に技能等を修得させる観点からの指導は、技能等に一定の経験等を有する者が担当することとなります。第4に、技能実習生からの相談対応については、技能実習生からの相談に適切に応じ、助言・指導その他の必要な措置を実施することとされています。

③ 監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること

④ 個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じていること

⑤ 外部役員または外部監査の措置を実施していること

⑥ 基準を満たす外国の送出し機関と、技能実習生の取次に係る契約を締結していること

⑦ 第3号技能実習の実習監理を行う場合、優良要件に適合すること

⑧ 上記の①から⑦のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること 具体的には、下記を満たさない場合は、監理事業を適正に遂行する能力があるとは判断されません。

  • 監理費は、適正な種類及び額の監理費をあらかじめ用途及び金額を明示した上で徴収(法第28条)
  • 自己の名義をもって、他人に監理事業を行わせてはならないこと(法第38条)
  • 適切な監理責任者が事業所ごとに選任されていること(法第40条)尚、監理責任者は事業所に所属し、監理責任者の業務を適正に遂行する能力を有する常勤の者でなければなりません。

尚、太字の部分が旧制度からの変更点となります。

技能実習計画の認定基準について

今回は、技能実習計画の認定基準について、重要な点や旧制度からの変更点に絞ってご説明いたします。

まず、技能実習法第9条では、技能実習を行わせようとする者は、技能実習生ごとに地濃実習計画を作成し、認定を受けることができるとされており、その技能実習計画の適切性を確保するために、認定の基準が設けられています。

次に、技能実習計画の主な認定基準として、以下のようなものがあります。

① 習得等をさせる技能が技能実習生の本国において修得等が困難な技能等であること

② 技能実習の目標について、第3号の目標が技能検定2級又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験への合格とされました。

③ 技能実習の内容については、第3号の技能実習生の場合は、第2号終了後に一か月以上帰国していることとされました。また、技能実習生や家族等が保証金の徴収や違約金の定めをされていないことを、技能実習生自身が作成する書面によって明らかにさせるようにしています。更に、複数職種の場合は、いずれも2号移行対象職種であること、相互に関連性があること、合わせて行う合理性があることとされています。

④ 実習を実施する期間は、第1号は1年以内、第2号・第3号は2年以内であること

⑤ 前段階における技能実習(第2号は第1号、第3号は第2号)の際に定めた目標が達成されていること

⑥ 技能等の適正な評価の実施が、技能検定、技能実習評価試験等によって行うこととされました。

⑦ 適切な体制・事業所の設備、責任者の選任については、各事業所ごとに選任される技能実習責任者(技能実習の実施に関する責任者)は、技能実習に関与する職員を監督することができる立場にあり、かつ、過去3年以内に技能実習責任者に対する講習を修了した常勤の役職員とされました(但し、講習については、経過措置として、令和2年3月31日まで適用無し)。

⑧ 許可を受けている監理団体による実習監理を受けること(団体監理型技能実習の場合)

⑨ 日本人との同等報酬等、技能実習生に対する適切な待遇の確保については、報酬の額が日本人と同等以上であることとされ、これを説明する書類を添付させ、申請者に説明を求めることとされました。また、入国後講習に専念するための措置等が図られていることとされ、食費、居住費等名目のいかんを問わず実習生が定期に負担する費用について、実習生との間で適正な額で合意がなされていることとして、費用の項目・額を技能実習計画に記載、技能実習生が理解したことや額が適正であることを示す書類を添付させることにしています。

⑩ 優良要件への適合(第3号技能実習の場合)が設けられました。

⑪ 技能実習生の受入れ人数の上限を超えないこととされ、新制度で人数枠を見直しています。

尚、③⑦⑨⑪については、事業所管大臣が告示で要件を定めた場合は、実習実施者又は監理団体は、その要件の基準を満たす必要があります。

監理団体の許可と技能実習計画の認定手順について

今回は、監理団体の許可と技能実習計画の認定に係る手順について簡単にご説明いたします。

まずは、監理団体の許可についてです。

事業協同組合や商工会等の監理団体は、監理団体の許可申請を行います。これに対し外国人技能実習機構が、団体の体制等を予備調査します。具体的には、許可基準に適合すること、例えば監理事業を適正に行う能力を有することや外部役員の設置又は外部監査の措置を行っていることなどの審査を行います。加えて、欠格事由に該当していないか、例えば、一定の前科がないこと、5年以内に許可取消しを受けいていないこと、5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしていないことなどを審査します。

外国人技能実習機構は、審査結果を主務大臣(法務大臣・厚生労働大臣)に報告します。主務大臣はこの報告に基づいて監理団体の許可を出します。

この許可の次に、技能実習計画の認定手続きに移ります。

まず、実習実施者と監理団体は、技能実習計画の作成を行います。実習実施者は、その実習計画の認定申請を行います。やはりこの場合も、外国人技能実習機構が、計画の内容や受入れ体制の適性等を審査します。具体的には、認定基準に適合すること、例えば実習生の本国において修得が困難な技能等であること、1号または2号の技能実習計画で定めた技能検定又は技能実習評価試験に合格していること(2号又は3号の計画認定時)などを審査します。加えて、欠格事由に該当しないこと、具体的には、一定の前科がないこと、5年以内に認定取消しを受けいていないこと、5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしていないことなどを審査されます。そして、外国人技能実習機構は、技能実習計画の認定を行います。

この技能実習計画の認定が出ましたら、実習生(通常は監理団体が代理します)が、在留資格認定証明書の交付申請を行います。法務大臣(実際には地方出入国在留管理局)が在留資格認定証明書を交付します。これにより、実習生の受け入れが可能となります。

技能実習制度の仕組み

今回は、技能実習制度の仕組みについてご説明いたします。

技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受入れ、OJT(On the Job Training)を通じて技能を移転する制度で、平成5年に制度が創設されました。

技能実習生は、入国直後の講習期間以外は、雇用関係の下、労働関係法令等が適用されており、平成30年末時点で全国に32.8万人在留しています。

技能実習制度の受入れ機関別のタイプとしては2つあり、一つは「団体監理型」といわれるものです。これは、非営利の監理団体(事業協同組合、商工会等)が技能実習生を受け入れ、その傘下の企業等で技能実習を実施するものです。監理団体は、外国人技能実習機構による調査を経て、主務大臣がその団体を許可することになっています。

もうひとつは「企業単独型」といわれるもので、日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施するというものです。

次に、技能実習の流れについてですが、入国後1年目は在留資格の技能実習1号として原則2か月間の講習を受け(雇用関係はなし)、その後実習となります。1年が経過する時点で所定の技能評価試験の学科試験及び実技試験に合格したら、2年目と3年目は在留資格の技能実習2号として実習することになります。

3年目が終了すると、一旦外国人の母国に帰国することになります(1か月以上)。そして、所定の技能評価試験(技能検定3級相当)の実技試験に合格したら、在留資格の技能実習3号として4年目と5年目の実習に臨むことができるようになります。

次に、技能実習制度の職種についてですが、令和元年5月28日時点では、80職種144作業となっています。次のようなものです。

  • 農業関係で2職種6作業
  • 漁業関係で2職種9作業
  • 建設関係で22職種33作業
  • 食品製造関係で11職種16作業
  • 繊維・衣服関係で13職種22作業
  • 機械・金属関係で15職種29作業
  • 社内検定型で1職種3作業
  • その他で14職種26作業

詳しくはこちらをご覧ください。

技能実習法の概要について

今回からしばらく、外国人技能実習制度についてご説明いたします。

日本に滞在する外国人労働者146万463人(平成30年)のうち「技能実習」の在留資格で労働している人数は約32.8万人となっています。2019年4月にスタートした新しい在留資格「特定技能」では今後5年間で約34万5千人の受入れを見込んでいますが、それにより「技能実習」の在留資格がなくなるわけでなく、技能実習制度も新しく生まれ変わり、「技能実習」の外国人労働者も今後増加していくものと思われます。

技能実習制度が生まれ変わったと申し上げましたが、具体的には、平成29年11月1日に、いわゆる技能実習法が施行されました。法律の正式名称は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」です。この法律の概要を簡単に申し上げますと、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るため、技能実習に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、技能実習計画の認定及び管理団体の許可の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設けるとしています。

技能実習の旧制度の見直しについては、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に協力するという制度趣旨を徹底するため、管理監督体制を強化するとともに、技能実習生の保護等を図るとしています。

具体的には、①監理団体については許可制、実習実施者については届出制とし、技能実習計画は個々に認定制とする、②新たに外国人技能実習機構(認可法人)を創設し、監理団体等に報告を求め、実地に検査する等の業務を実施、③通報・申告窓口を整備、人権侵害行為に対する罰則等を整備、実習先変更支援を充実、④所管省庁、都道府県等に対し、各種業法等に基づく協力要請等を実施、これらの関係行政機関から成る「地域協議会」を設置し、指導監督・連携体制を構築、⑤実習生の送り出しを希望する国との間で政府間取り決めを順次作成することを通じ、相手国政府と協力して不適正な送り出し機関の排除を目指す、などとしています。

次に、技能実習制度の現状としては、平成22年の制度改正以来、技能実習生の数は増加し続けています。業種は80職種あり(平成31年3月14日時点)、「技能実習2号」への移行者が多い職種は、①食品製造関係、②機械・金属関係、③建設関係となっています。

受け入れ人数の多い国は、①ベトナム、②中国、③フィリピン、④インドネシア、⑤タイの順となっています。(平成30年末)また、受入形態別にみると、団体監理型の受入れが96.6%であり、実習実施機関の半数以上が従業員19人以下の零細企業となっています。

新たな外国人材の受入れに向けた取組み

出入国在留管理庁は7月に、「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」という制度説明資料を発表しました。今回はその中からいくつかをピックアップしてご説明いたします。

まず、外国人労働者の受入れに関して、現在の基本的な考え方が書かれています。それによると、専門的・技術的分野の外国人は積極的に受け入れ、それ以外の分野の外国人は様々な検討を要するとしています。

専門的・技術的分野の外国人については、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、この分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進するとしています。また、この分野の外国人については、引き続き在留資格の決定に係る運用の明確化や手続負担の軽減により、円滑な受入れを図っていくとしています。

一方、それ以外の分野の外国人については、我が国の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすこと等から、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応するとしています。また、今後の外国人の受入れについては、諸外国の制度や状況について把握し、国民の声を積極的に聴取することとあわせ、人手不足への対処を目的として創設された在留資格「特定技能」の運用状況等も踏まえつつ、政府全体で幅広い検討を行っていく必要があるとしています。

次に、在留外国人数の推移を見ますと、平成21年から減少傾向にあったのが、平成25年から増加に転じ、平成30年12月末時点での在留外国人数は、273万1,093人となっています。その内訳を見ますと、在留資格別では、永住者が77万1,568人と最も多く、次に留学の33万7,000人が続きます。3番目は技能実習で32万8,360人となっています。また、国籍・地域別では、中国が76万4,720人で最も多く、次いで韓国の44万9,634人となっています。3番目はベトナムで33万835人です。

最後に、外国人労働者総数146万0,463人の内訳を見ますと、定住者、永住者、日本人の配偶者等などの身分に基づき在留する者が約49.6万人と最も多く、いわゆる専門的・技術的分野での就労目的で在留が認められる者が約27.7万人となっています。技能実習では約30.8万人となっており、留学生のアルバイトなどの資格外活動では、約34.4万人となっています。

詳細の資料をご覧になりたい方は、こちらです。「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」

外国人の預貯金口座・送金について

金融庁は、外国人の受入れに関わる機関などを対象にして、外国人の預貯金口座・送金利用についての注意事項をパンフレットにして案内しています。

外国人の受入れに関わる機関とは、例えば、受入れ先の企業、就学先、登録支援機関、外国人技能実習機構や管理団体などです。

それによると、まず、外国人が日本へ入国後に預貯金口座の利用を始めるとき、円滑な預貯金口座開設のための支援をお願いしたいとしています。具体的には、外国人が預貯金口座を開設する際に、通常は本人確認書類(在留カードも可)、印鑑、社員証または学生証のような書類が必要となることや、外国人が日本語に自信がない場合は受入れ先企業や就学先の通訳を同行してもらうよう、伝えてくださいとのことです。

また、受入れ先企業に対しては、給与支払いについては、受け入れた外国人に対しても、外国人の利便性や給与支払いの透明性を確保するため、速やかに預貯金口座振り込みの手続きを行うようお願いしています。特に、特定技能1号の資格で受け入れた外国人に対しては、給与支払いを預貯金口座振込などの支払額が確認できる方法で行うことや、預貯金口座開設の支援をすることが義務付けられています。

次に、日本で生活するために金融サービスを利用するとき、電気、ガス、水道などの各種公共料金や、電話、インターネットなどの通信料金については、預貯金口座からの自動引落が便利であることを伝えるよう求めています。

また、外国人が母国へ送金するときは、銀行を利用すればほとんどの国に送金できますが、一部の国にしか送金できないものの、銀行に比べて比較的安い手数料で海外送金ができる金融庁の登録を受けた資金移動業者も使えることを、外国人に伝えてくださいとしています。但し、登録を受けずに送金を行う業者は違法ですので絶対に利用しないように伝えてくださいとしています。

次に、外国人の住所や在留期限、在留資格が変わったとき、退職・退学をしたとき、通帳やキャッシュカードをなくした時などは、外国人に金融機関での手続きが必要であることを伝えてくださいとしています。また、受入れ先企業や就学先に対しても、上記のようなことを知ったときには金融機関に連絡するよう求めています。

次に、外国人が帰国することとなり、預貯金口座を利用しなくなるときは、預貯金口座の解約を促すよう求めています。また、預貯金口座の売買(預金通帳・キャッシュカードの譲渡など)は犯罪であるのですが、帰国する外国人が小遣い稼ぎのために預貯金口座を売却する事例が多発していることから、受入れ先企業や就学先からも、外国人に対して絶対にそう言った行為に関わらないよう注意喚起するよう求めています。

最後に、以下の行為は犯罪行為であり、法令による処罰や国外退去処分・入国禁止などの対象となる場合がありますので、受け入れた外国人が関わらないよう、注意喚起することを求めています。

  • 地下銀行(免許を持たずに銀行業を行なうことや登録を受けずに資金移動業を行なうこと)やヤミ金融(登録を受けずに貸金業を行うこと)
  • マネー・ローンダリング(犯罪による収益を隠して預金したり送金したりすること)への関与
  • 預貯金口座の売買・譲渡
  • 偽造クレジットカードや偽造キャッシュカードの使用

以上のような金融に関連する犯罪行為に関する情報は、金融庁・財務局又は警察まで連絡するよう求めています。

尚、今回ご案内した金融庁のパンフレットはこちらです。

外国人を受入れる機関としては、上記内容を十分に理解した上で、外国人を受け入れたいものです。

公認内部監査人(CIA)に認定されます!

昨日、公認内部監査人(CIA)認定試験3科目のうち、最後のPartⅢの試験に合格し、来月末ころに、CIAに認定される見込みとなりました。

このCIA(Certiied Internal Auditor)という資格は、米国の内部監査人協会(IIA)が行っている内部監査に関しての国際資格です。

今後は、行政書士として許認可面での支援のほか、法人の内部監査の面でも、お手伝いできるようになります。

取り急ぎ、ご報告させていただきます。

住宅宿泊事業 届出前の手続き その3

今回は、住宅宿泊事業の届出前の手続きのうち、関係機関等との相談や調整についてご説明いたします。

① 建築基準法関係法令所管部署

安全確保瑞草状況について、詳細な内容等の確認が必要な場合には、東京都都市整備局市街地建築部建築企画課に相談してみて下さい。この場合、建築士から相談してもらいましょう。

② 消防機関

消防用設備防火管理体制などに関する消防法令の適用を受ける場合や、東京都又は各市町村の火災予防条例に基づいて、防火対象物使用開始届出書の提出が必要となる場合がありますので、必ず、届出の前に建物の所在地を管轄する消防署又は市町村消防本部に相談しましょう。また、相談を行ったときは、日時、相談先、相談内容等の記録をガイドラインの様式を使って作成しましょう。こちらが様式です。(ガイドライン様式4をご覧ください)

③ 保健所

飲食の提供や温泉を利用しようとする場合は、あらかじめ施設所在地を所管する保健所に相談してみましょう。

④ 市町村廃棄物処理所管部署

事業の実施に伴い排出される廃棄物に関して、法令や市町村の条例を遵守し、廃棄物所管部署の指導に従いましょう。

⑤ 水質汚濁防止法所管部署

届出住宅について、水質汚濁防止法の届出が必要となる場合がありますので、下記に問い合わせてみましょう。

多摩地区の場合:東京都多摩環境事務所環境改善課 042‐525‐4771

⑥ 税務所管部署

住宅宿泊事業に係る各税の質問がある場合は、以下に問い合わせてみましょう。

  • 国税(所得税・法人税等)の質問については税務署
  • 都税(事業税等)の質問については都税事務所
  • 区市町村税(個人住民税等)の質問については区市町村税務部署

その他、住宅宿泊事業を営む場合は、事業を取り巻くリスクを勘案して、できるだけ、適切な保険(火災保険、第三者に対する賠償責任保険等)に加入するようにしましょう。

住宅宿泊事業 届出前の手続きについて その2

今回も前回に引き続き、民泊オーナーにとって必要な届出前の手続きについてご説明いたします。

① 住宅の安全確保措置

届出住宅の安全の確保について、事業開始までに必要な措置を講じなければなりません。そのために、所定のチェックリスト作成が必要となります。こちらの様式2をご覧ください。住宅の安全確保の措置状況は、建築士でなければ確認が困難となる部分が多くありますので、建築士に依頼して作成してもらいましょう。また、チェックリストの作成を依頼する際に、住宅の図面、壁等に使用した建材の種類等が分かる資料が必要になることがあります。

② 分譲マンションで事業を実施する場合

その建物の「管理規約に事業を営むことを禁止する旨の定めがない旨」を確認しましょう。管理規約に次のような趣旨の定めがある場合、事業を営むことができません。

  • 住宅宿泊事業を禁止
  • 宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を禁止

管理規約に事業を営むことについての定めがない場合(禁止、可能いずれの定めもない)、届出時点で「管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないこと」を次のいずれかの方法により確認することが必要です。

  1. 管理組合に事前に事業の実施を報告し、誓約書(様式3)を作成 こちらの「様式3」をご確認ください。 
  2. 管理組合の総会及び理事会の議事録その他において、管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証明する書類を作成

③ 家主不在型のおける事業の実施

家主不在型で事業を実施する場合は、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託しなければなりません。但し、次のいずれにも該当する場合は、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者(民泊オーナー)が自ら行う事が可能です。

  1. 自己の事業者が生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内もしくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき
  2. 届出住宅の居室であって、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行う数が5以下であるとき

住宅宿泊管理業者との契約の締結については、あらかじめ登録を受けた業者であることを確認し、登録済みの住宅宿泊管理業者と委託契約を締結しましょう。委託契約についても、あらかじめ届出書及び添付書の内容を確認してもらいましょう。また、住宅宿泊管理業者が、届出住宅へ速やかに駆けつけることが可能な体制を有しているか、確認してみましょう。委託の範囲については、住宅宿泊管理業務の「全部」を契約により委託しましょう。委託できる業者は1つであり、複数の業者に分割して委託することや、住宅宿泊管理業務の一部を事業者が自ら行うことはできませんので注意しましょう。

次回は、届出前の手続きのうち、関係機関等との相談や調整についてご説明いたします。